第8話

あたしだけが誰とも会話しないそんな毎日が続いても

みんなが違和感なく教室で過ごせますように

その禁忌に担任が気づくことがありませんように

息をひそめて

ひっそりと

B面のあたしは存在してる


あたしの存在が

クラスに波風立てたりしないように

ひたすらに『読書中』っていう

武装してる

そうでもしないと

授業中いたたまれなくて


『本読んでる人に

あえて声かけて邪魔したりしないよね

だからみんなは

あたしのこと無視してるわけじゃないんだよ』

そんな空気を纏いながら

得意の存在を消す技を使って

あたしはクラスの端っこにひっそりひっそり

日陰に馴染み込むように潜んでるんだ


クラスの波に乗ってるふりして

浮ついた存在でありながら

『あの子 誰からも声掛けられない?

一人ぼっち?

寂しくないのかな?

暗いね

変わった子』

そう思われないように

注目を浴びないようにひたすら本を凝視する


『浮遊ゴミ見つけたー』

みたいな感じで

注目されてしまったら

その視線は真夏の紫外線のように

弱くて白い肌を突き刺すように攻撃する

あたしの心は弱くって

傷付いて消えてしまいたくなるから

こんなにもがいて抗ってるのに

そのことを隠すように

まるで弱った小鳥が捕食されぬよう

元気なふりをするように

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