家鴨の空

kappa

プロローグ

そう、物語の始まりは……



 貴族の時代に遡る。

まだ、人間と獣が一緒に共存していた時代。

雨の日だった。

ブラット・グリサル・霧神

貴族として人間界にいた時のことだった。


幼い黒人の少女が男達に強姦されそうになる。

なぜ、あの時体が動いてしまったのだろうか・・。

その少女を助けてしまった。


少女の名前はアエン。

10歳の人間の奴隷だった。


その日以来、何故かアエンのことが気になり様子を伺うことが多くなった。

アエンは、虐待はおろか食事も与えて貰えない生活を送っていた。


「辛くないのか・・。」

「平気、いつものことだもの。」

人間の血が欲しいのではなく。


アエンの瞳が悲しく見えたのか、何故か会いにいくようになった。

少し自分に似ている……


それから、6年経った。

アエンは、村の中でも評判の美女になった。

「これ、やる。」

ブラッドは、アエンに髪飾りを渡した。

「ありがとう。」

その言葉が、とても胸に響いた。


花のような女性に変わっていた。


そして、また雨の日。

家から悲鳴が聞こえた。

アエンの悲鳴だった。

家主に襲われていた。

アエンは、家から逃げ出した。

宛てもなく、彷徨い歩き、馬小屋にたどりついた。

アエンは体を抑えて、声を凝らしながら泣いていた。


「アエンどうした?」

ブラッドの家の馬小屋だった。

「人間は残酷ね・・・。」

アエンをその時愛おしく思えた。

「なら・・・。人間を辞めるか?」

「人間を辞める?」

ブラッドは、静かに頷く。


アエンは、首を振る。

「人間を辞めたら、貴方に会えなくなる。」

濡れた体と涙が一緒になって、アエンが弱く見える。

その言葉を聞いた時、守りたいと思った。

「君を一生守る、約束する。」

アエンは不思議そうな顔でブラッドを見る。


「家族になってくれる?」

「あぁ……。」


そして、アエンを抱きしめた。

アエンの体は、とても冷たくして同じ自分の肌と一緒の温度だった。

その雨の日、僕らは結ばれた。


その後、アエンは霧神家のメイドとなった。

しかし、アエンの体には傷は耐えない。

でも、アエンは気にしないでその言葉ばかりだった。


数ヵ月後、ブラッドは、霧神家の先代呼び出される。

「お前、人間臭いな。人間とでも交わったか。」

ブラッドの行動は、先代の耳にまで届いていた。

「ヴァンパイアヤの掟、わかっているな?」

ブラッドは静かにうなずく。

アエンの前から突如、ブラッドは消えた。


アエンのお腹には、ブラッドの子供を身篭っていることも知らずに。

その後、アエンは元気な男の子を出産した。


だが、その子供は、赤い髪に赤い瞳。

「ブラッド……愛してるわ。」

その言葉を残して アエンは、子供を生んだ同時に亡くなった。




その子供の名前は、ミフィー。


冬の夜、キリスト教会の前に捨てられた災いの子供として。


ミフィーは、教会の系列の孤児院で育てられ。


目立つ容姿は、人間達の反感の元となり忌み嫌われた。

だが、ミフィーはその外見こそあったが人を癒す音楽に見せられ、音楽の道に進んだ。

とても、誠実で人を癒す青年へと育っていった。

その頃、偶然にも馬車の事故にあう。

ミフィーは、死亡したと思われ埋葬まで行われた。

だが、その後彼の姿を目撃した例が後を絶たなかった。

彼と喋った者、彼と遭遇した者まだ現れた。

彼はヴァンパイヤとして復活していた。

それから、百年も歳月が過ぎた。


ミフィーは、ピアノの演奏家として戦場にいた。

そこで、看護婦として働く金髪の白人の妖精のような女性と出会う。

名前は、姿と同じ妖精・華・レイグルーム・赤神。


貴族の令嬢だった。

多くの人の命を救いたいと思い戦場に出てきた。

ミフィーはその時、月神家にて、赤神家のスパイとして潜入するように言われていた。


しかし、一緒に赤神家で暮らしている家に、妖精が素直で純粋な子だということに気付く。

戦争など、とても平和を愛し人間を愛している人だと。

その時期、ミフィーは百年に一度の喉の渇きに襲われる。

その際に、妖精に本当の姿を見られた。

しかし、妖精は静かにミフィーを抱きしめて、自分の首元にヴァンパイアの牙をくいこませた。


「なぜ……私を怖がり逃げない……」

「あなたを愛しているから……」

「人間など……」

「私とあなたは同じ人間よ……音楽が好きだったり、缶詰が好きだったり。」


その時、急に喉の渇きが収まった。

妖精は、血を飲まれていたいのに気が付いた。


「ミフィー?」

「僕は、人間に生まれてきてからずっと意味嫌われていた、ヴァンパイアになったのは、そのためだし、人間に愛されると思ってなかった 。」


ミフィーは、涙を流した。

そのこと以来、次第に、二人は恋に落ちた。

しかし、妖精には婚約者がおり、結婚をするように言われていた。

また、ミフィーが月神を裏切ったとして、ミフィーは姿を消していた。

しかし、妖精はミフィーを探すという置手紙をおいて家を出た。


「やっと、見つけた!」

月光島で、ピアノ演奏をしているミフィーを見つけた。


「どうして来た?」

「子供ができました!」

「すぐに殺せ!」

妖精は、すごく嫌な顔しミフィーを怒鳴る。


「嫌です!」

「人間に恨み、嫌われ生きる子供だぞ。」


「そんなことは、私がさせない!」

「妖精……」

「私が、この子をそんな子にさせない、あなたも!」

「君は強いな……。」

「だから、責任とって私と結婚してください。」


ミフィーに妖精は、近寄り手に触れた。


「私は……あなたの味方です。」


ミフィーは、幼き日に見た母親とだぶった。


「やっぱり、僕は君を手放すことはできないよ。」


ミフィーは、妖精を抱きしめた。


「でしょ?」

「責任取るよ、男の義務だ」


「そこは、常識人なのね?まぁ当り前だけど。」

「う・・」

「私も変な人を愛したもんだわ」


妖精はにっこり笑って幸せをかみしめていた。


二人は、その日永遠の誓いをした。

その後、子供を出産した、子供の名前は、月。


父親と同じ赤髪に赤い瞳。


禁断の子供として生まれ、悪魔祓いの儀式を受けた。


その後、ミフィーは月神家と霧神家との縁を切り赤神家へ妖精の夫として籍を置いた。


月神と赤神の神一族の内部戦闘は、ミフィーが月神からの指示により自白し、

赤神と黒神両社は、対話に入り一族の争いは終結を迎えた。


その後、妖精は人間特有の病気にかかり18歳でこの世をを去った。


月は、妖精に貴族の生き方を教わった。


そのため、人間として生きれないと判断した。


そのころになると、辰星島が反政府組織として判別され戦火が拡大しつつあった。


赤神家も同様に、戦闘にでることになる、赤神龍の恩義を返したいとミフィーは戦場に出る決意をする。


「娘を頼みます。」

ミフィーは、深く頭を下げた。

龍は、静かにうなずくだけであった。

その頃と同じくして、神鈴家初代党龍星が誕生した。


戦場に出たミフィーは、戦場で倒れ亡くなったという情報が入った。


しかし、それは父親が赤神を裏切ったということだった。


月は、龍に刃物を向けられ殺されかける。


「おっと、待ってよ。」


そこには、10歳にも満たない子供がいた。



「誰だ。」


「このブラッドを知らない?必礼しちゃうよ。」


「霧神家のヴァンパイアの王・・。」


「その娘は、私がもらっていくよ。」



そして、月と地球は出会ってしまった。


あの桜の舞う季節。


ピアノの音色と共に・・・。


「あなたは、世界が変わると思う?」


「僕は、変革を起こすかならず。」


「なら、私といっしょに世界を変えない?」


月はとても優しくとして美しく桜の木を眺める。

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