第2話

ワンワン…!

大人しそうな犬が突然吠えた。

婦人は困った様子でリードを引く。犬は婦人に何かを伝えたいようで、吠え続ける。

婦人がしゃがみこむと、犬は大人しくなった。

婦人が小さな悲鳴をもらした。

「まぁ」

何事かと興味が湧いたが、声をかける勇気もない。私は、そのまま黙って海を見つめていた。

しばらくして、婦人が私の後ろを通った。私は思わず振り返って、婦人と犬を見送る。

婦人の手には輝く貝殻が誇らしげに乗っていた。

海は、たくさんの宝物を届けてくれる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る