第6話
「もうこの町を出るの?」
「そうだよ」
自分達の場所がバレてしまった以上、
すぐに違う場所に移らないといけない。
今は、馬車に乗って移動しているところだ。
なるべく、バレにくい移動手段にしたつもりだ。
「ねえ、ミアナ、本当に大丈夫?」
やっぱりヒアナも気になっているようだ。
「大丈夫!」
私達には無理に笑ってるようにしか見えなかった。
そろそろ町を出る頃だろうか。
「これからどうするの?」
ヒアナが聞く。
そういや、なにも決めていなかったな。
最優先ですることは、神父を探すことと、
あとの4人と合流するこただろうか。
あの4人の安否も気になる。
「ねえ」
「なんか、囲まれてない?」
急いで窓の外を見る。
おそらく20人はいるだろうか。
孤児院を襲った奴らがいた。
あまりに数が多すぎる。
「急いで、逃げるぞ」
そう言った時には既に囲まれていた。
「ねえ」
今日、ずっと話さなかったミアナが口を開いた。
「昨日、私達襲われたよね」
「なんで起こしてくれなかったの?」
「それはミアナに心配をかけたくなかったからで、」
「なんで」
ヒアナの話を遮るかのように続ける。
「私にはみんなを守れる力があるのに」
「なんで、」
「母さんも、お姉ちゃんも、」
「なんで」
「なんで、」
明らかにミアナの様子がおかしい。
「違うの、ミアナ」
「なんで、」
「なんで、、」
もう私達の話は聞いてないようだ。
そして周りを見て、言った。
「もういい」
「私が全部、殺るから」
この時、私達は気づいた。
ミアナはもう戻らないということ。
そして、もう止められないということを。
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