【意味怖】一汁三菜

うちの家計は代々スポーツ一家。




母は水泳の選手、父はトライアスロンで世界大会に出ている。




「毎月13日は一汁三菜の日として、健康に良い和食を提案する日とされてるんだ」




今日もトレーニングで汗だくで帰ってきた父が、健康話を振ってくる。




「あらあら良いわね、じゃあ今日は一汁三菜料理にしましょうか」




「だな!良いな!」




熱い家族だ・・・。




正直私はうんざりしている。




普通の家族と感覚が違うのか、みんな学校まで自転車で行っているのに


私には走っていくことを強制する。




学校に持っていくカバンにはダンベルまで詰められ


常に加圧シャツを着せられる。




両親ガチャに失敗したとつくづく思う・・・。




「さぁ、今日は一汁三菜料理、お父さんが作ったぞー!」




「あらあら美味しそう」




確かに美味しそう。




魚の塩焼き


わかめの酢の物


きんぴらごぼう






あれ?三菜は凄く美味しそうだけど


一汁(おすいもの)が無いけど・・・。




「あれ?お父さん、一汁はどうしたの?」






「ん?入ってるさ。既に」

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