第513話 きら星はづきの配信、全部終了! 伝説

 いよいよ最終盤!

 中国編になって、私の配信にあった名シーンが次々流れる。

 上手く切り抜きしてるなあ。


 ちょこちょこと、これらの切り抜きに触れつつ……。


 ワイプで、メイユーとチェンファとリーさんが出てきた。

 ここでワイワイとお喋りをするのですよ。


『国の再建は順調だ。更地にされてしまったからね。そこから立て直していくのは我々は得意なんだ』


『はづきももみじを連れて、また遊びに来なさいよ!』


『はづき小姐、俺はまたクンフーを積みました。ワイヤーありのワイヤーアクションです! 力を見に来て下さい!』


 楽しみ~!


 再建されていく中国の姿も見えた。

 福建省に近いところからどんどん立て直しが始まってるのね。

 世界中の技術が集まって、すごい活気になってる。


 ここからさらにさらに、賑やかになっていくことでしょう。


 そしてそして、中国編が終わったら、画面袖からホセとパンチョが飛び出してきた。


「クライマックスだぜ!!」


「魔王編!」


 かき鳴らされるギター、鳴り響くブブゼラと指笛の音。

 一気にうるさくなりましたねー。


※『はづきっち中心で無の表情してて草』『二人の舎弟は最後まではづきっちに理解できないタイプの人間だったかw』『ちょっとはリズムに乗れw』


「えー、じゃあ二人にはまた帰ってもらって」


「そりゃないぜセニョリータ!」


「俺たちの出番はこれで終わり!? そんなことはないぜ! おい、この配信を見てるセニョール・セニョリータ!! きっと俺たちは君たちの配信にも……」


「時間押してるんで! あちょー!」


「「ウグワーッ」」


※『二人まとめて放り出されたw』『すげえパワーw』


 次です、次。

 ここで登場するのはユーシャちゃんとアフームたん、そしてスパイスちゃんの三人。

 ワイプでシェリーとカイワレ、タリサとモリトン、ゼルガーコンビが出てきた。

 国際的なチームだったから、みんな地元に帰って活躍してるのね。


 全員に箔がついて、登録者数もグーッと伸ばしてるらしい。

 ただ、やっぱりダンジョンが減ったのは間違いないので、今は芸能活動みたいなこともしてるんだとか。


「タリサはさ、もっと活躍できると思ったんだけどなー。ヤバかったよ魔王! なんではづきはあんなのに勝てたのよー」


「はづきは特別だからでしょ? タリサははづきの配信見返して勉強すること」


「なんでシェリーにそんなこと言われなきゃなんないのよー!」


「そこに全てのヒントが詰まってるからに決まってるでしょ!」


「確かに、はづきさんの配信はまるで台本があるかのように、観る者にカタルシスを与えてくれていた。あれが全て偶然の産物なら、彼女には大いなる者の加護がついているのだろう」


「よく分からんが、俺をパワーで軽々と押し返すはづきにはリスペクトを抱いてるぜ」


「HAHAHAHAHA! リーダーはでたらめだからね!」


「「「「「お前が言うな!!」」」」」 


 賑やかですねー!


「いつもこんな感じだけどね! あっ、はづきちゃん、今までお疲れ様でした!!」


 勇者パーティを代表して、ユーシャちゃんが花束を持ってきたのだった!

 でっけー。


「ありがとうー!」


 どかっと大きな花束を受け取ると……。


『師匠、それはわらわが預かるのじゃ』


 スーッとスファトリーさんが飛んできた。

 もちろん、マスコットモード。

 そして、アフームたんにギロッと睨みを効かせていく。


『おお怖い怖い。地属性の一族は好戦的なのです~』


『火属性のくせに氷を操る異端児が何か言ってるのじゃー』


 火花が散っている!

 なんでしょうねえ、二人から昔からの知り合いオーラみたいなのを感じますね。

 不倶戴天の大魔将一族同士みたいな。


 そんなところで、突然会場にアナウンスが流れた。


『VR空間に大型ダンジョン出現です! えー、VRロビーにギッチギチになるまで人が流れ込んだ結果、ダンジョン発生条件を満たしてしまったようです! 配信者の方々は出動を……』


「あ、私行きます?」


 私が立ち上がると、画面外から大丈夫! まかせてー! とか声が聞こえてきた。

 おお、心強い!


 コメント欄も、ダンジョン発生に気づき始めてて、騒ぎになっているかと思いきや……。


※『下手に動かないぞ!』『助けを待つぞ!』『配信者の人たち頼む!!』『来たら応援だぞ!』


 リスナーの心構え!!

 ベルっちがヒョイッと顔を出して、


『はづきがいなくなるんだもの。みんな、これからは自分でもなんとかしていかないとね』


「な、なるほどー」


『つまり人類にとって、ようやく独り立ちのときが来たってわけ』


「そんなに大仰な話なんです……!?」


 ここから、次々にVR空間に到着する配信者たちが、ダンジョンを攻略する様子を解説する配信になった。

 みんな頑張ってますねー。


 着々と、巨大なダンジョンが攻略されていく。

 もう世界中の配信者が参加してるらしくて、みんなで協力して同時攻略だ。


 二十分位でダンジョンは最深層を残して攻略が終わり、最後にそこをみんなで攻撃して……終了!!


 で、なんかみんなが振り返って私に向かって何か仰っている!


『みんな言ってる。はづきがいなくなっても、自分たちが世界を守っていくってさ』


「おほー! ありがとうございます!」


※『最後の最後でおほーやめろw』『感動的なシーンなのに、最後まではづきっちだったなあ……』『俺等が画面の前でちょっと泣いてるのにこの人はもうw』


「まあまあ。始まりがあれば、いつかは終わりがあるということで……。私は今日この時をもって、配信者としての活動を終えます。後はこのベルっちが引き継ぎますんで……。食べ物が切れない限りは人類の味方なんで……」


※『特大の爆弾を置き土産にしていきやがったぞw!』『お疲れ様はづきっち!』『またいつか会いたいなあ』『はづきっちがいない世界は俺等で守る!』『うおおおおお』『安心して旅立ってくれー!』


※たこやき『最高の切り抜きを用意しなくちゃな』もんじゃ『いい配信だった。ツッコミどころは……後々考察動画上げておくよ』おこのみ『うおおおおおはづきっちー! はづきっちー! はづきっちー!!』


 みんなからの声援を受けて、私は大きく手を振り返した。


「じゃあね、みんなー! おつきらー!!」


 私の配信者生活は、これにて終わりです!


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