第463話 合流、現地の異種族とか諸々伝説

 配信者をまとめながら快進撃しているのはもみじちゃん。

 彼女をサポートするために、暫定政府側が特別製のキッチンカーを用意し、どこでも美味しいご飯が食べられるようにしているのだ。

 バングラッド氏がちょこちょこあっちに行って手伝ってる。


 では、私はと言うと……。


「あなたがカナン戦士長の話していたきら星はづきか。お目にかかれて光栄です。私は銀のエルフの長」


「あっ、どうもどうも」


 銀髪で長身の男性が来たので、握手した。

 エルフだエルフだ。

 系統が違いますね?


「人間たちは我々をハイエルフと呼んだりもするが。実のところは得意区分が違うだけで同じエルフなのだ」


「な、なんですってー!!」


 ハイエルフは幻想だった!

 みんな同じだった!


「現地勢、水虎です。ダンジョンにやられてうちの会社が潰されて絶許です」


「あっ、どうもどうも」


 一見してやり手のビジネスマンっぽい人と握手した。

 そうしたら、彼の顔がぶわっと膨れ上がって透明になる。

 あっ、本当の姿は意志のある水ってやつですか!


 人間に化けて社会に溶け込んでいたらしい。


「私は長い間この国の社会に溶け込み、財閥を作り上げています。我が財閥はきら星はづきさんを全力でサポートしましょう」


 どうやらダンジョンがこの世界に来る前からいたらしくて、いわゆる妖怪らしい。


「鹿野もみじさんのキッチンカーも我々の財閥から出資してますので、こちらでも……」


「大歓迎です!」


 美味しいものがどこでも食べられるのは最高!


「崑崙山から来ました。仙境の老人たちの代理をしております、地仙のバイシンです」


「あっ、どうもどうも」


 仙人本当にいたんだ。

 地仙の一人が政府に力を貸して、それで一般人の人でもダンジョンと戦えるようになってたらしい。

 で、どうにかなるでしょって戦っていたら、魔王が送り込んできたヤバいダンジョンに一気に押し切られてしまったと。


「崑崙山の方針でずっと傍観していたのですが、やはり人類側が一方的にやられるというのは見ててキツイものがあると、地仙の仲間が先走りまして。それが結果として最悪の事態に」


「なるほどー」


「二代目西王母もこりゃあまずいとなりまして」


「二代目!!」


「私を送り込んできたわけです。仙境は新時代の神たるきら星はづきに全面協力し、世界を食い尽くす病巣たる魔王マロングラーセを駆逐します」


「それは心強いですー」


 握手握手。


「はづき、今何かとんでもない言葉をさらっとスルーしなかった?」


 カナンさんが何か仰っておられる。


 私はこうやって、現地でどんどん集まってくる謎の勢力と協力体制になっていっていった。

 全員人外なんですけどね。


 皆さん仰るには、「人間が馬鹿やらかして滅びるのはまあ仕方ない。だけど外から来た奴が勝手に人類滅ぼすのはダメでしょ」ということだそうで。


 この配信者としての技術や文化、現代魔法と言ったものは、この人たちが有形無形で協力してくれていた形だったという話だった!

 なるほどなあ。

 実は全世界が一丸になって、ダンジョンの侵略と戦っていたのだ。


 そんなわけで、暫定政府の上の会議室を使ってお話をすることになった。

 書記代行がなんかすごい顔してる。


「ハイエルフの長に、世界の裏で暗躍していた財閥の主である妖怪、崑崙山からの使者……」


「バラエティ豊かですよねえ」


「豊かなんてものじゃない……」


「いいかな、きら星はづき」


「どうぞハイエルフの長~」


「それぞれの地域が侵食されたままでは、その地に隠れている敵の首魁を探すことは叶わない。まずは各地を解放していってもらいたい」


「了解です~」


「よし、では我が財閥が作った空飛ぶキッチンカーで彼女を投下していこう。ポイントさえ分かれば対応は容易だ」


「崑崙山でその地域の魔将を探しましょう。探し当てた場所に確実に彼女をぶつければよろしい」


 どんどん話が進んでいく~!

 精霊魔法、現代技術と現代魔法、仙術の三つが合わさって私をサポートしてくれるのだ!


 ありがたいー。

 一ヶ月くらいかかる仕事だなーと思ってたけど、これは思ったより早く行けそう。


「あ、じゃあ書記代行、方針が決まったみたいなんで」


「あ、ああ!」


「すぐ出発します。えっと、夕飯までには帰りますんで」


「えっ!?」


 出発なのだ!

 既に、外には空飛ぶキッチンカーが用意されていた。


 これ、VTOL方式の大型ジェット機なんですが。

 これがまるごとキッチンカー!?

 キッチンジェット!?


「車輪がついているので、法制上は車だ。さあ行こう諸君!」


 水虎さんが呼びかけると、エルフの人たちとカナンさん、財閥の関係者の人、それからバイシンさんと仙人のみなさんがわあわあ乗り込んできた。


 飛び立つキッチンカー!


 窓からは、書記代行が唖然としたままこっちを見上げているのだった!

 いってきまーす!


「うーん、急激に話の規模が大きくなってきた……」


「何を今さら。はづきはずっと世界規模で配信を続けているだろう? ほら、忘れていることがあるんじゃないか?」


「あ、そうでした!」


 カナンさんに言われて思い出した!

 配信しなくちゃですねえ。

 一応、世の中には秘めておかなければならない神秘みたいなのが存在するので、今回の協力者については伏せておくことになっている。


 ではでは。


「お前ら、こんきらー!!」


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