第353話 その頃地の大魔将対策は?伝説

 イカルガが大感謝祭準備でバタバタしつつ盛り上がってる頃。

 巷では、色濃くなってくる地の大魔将の影響が問題になっていた。


 なんか朝のニュースで、強力になるダンジョンが増えてるっていうのが流れていた。

 ダンジョンボスが地の大魔将の加護を受けて、パワーアップしてるんですと。


「はえー、肩とか頭にトゲが増えてる」


「この配信者、リーダーの歌みたをエンドレスリピートしながら戦ってたからなんとか勝てたみたいね」


「いやはやお恥ずかしい……」


「私も見たわ! もー。娘の成長した歌声がアワチューブで聞けるなんて思わなかった!」


 あひー!

 母が聞いていた!

 いや、まあ全世界に向けて発信したんだから聞かれるのも当たり前なんだけど。


 そんなこんなで、12月に突入です。

 大感謝祭の準備はいよいよ大詰め。

 イカルガはもうドタバタと朝から晩まで忙しい。


 そして世の中では、じわじわと侵食してくる地の大魔将への不安感が高まっていたらしい。

 不安が高まってないのは、大感謝祭を楽しみにしているイカルガエンタのファンの人達かな……。


 その他、太陽風の影響で人工衛星が幾つも不調になり始めてて、カーナビが働かないことが増えてきたとかなんとか。

 地図アプリや地図検索も時間が掛かるようになってきた。


「何が起こってるんだろうねえ」


 不思議に思いつつ、私は朝食を終えたのだった。

 ご飯を食べる時は、ベルっちと分離していると二人分食べてしまう。

 ここは一人分で行こう……。


「リーダー、朝食はそんなにたくさん食べないわよね。いや、大きいお茶碗で二杯食べてるけど」


「朝は胃がそんなに活発じゃないので……」


「たくさん食べてもいいんだぞ……」


 なんか父が心配してくれている。

 ありがたいけど、朝のこれは我慢しているんじゃないから大丈夫!


 ということで、本日も朝のルーチン。

 父のお弁当を詰めます。


「うおー、愛情たっぷりのほうれん草ソテーを喰らえ!」


 味濃いめに炒めた、ベーコンとほうれん草のソテー。

 冷めても美味しいし、味が濃いめなのでご飯も食べられちゃう……。


 後は冷食のミートボールとかひじきとか入れる。


 父がお弁当を受け取り、ホクホク顔になった。


「今日も一日頑張れるよ! 行ってくる!」


「「「『いってらっしゃ~い』」」」


 おっ、ベルっちも私の胸元から顔を出して父を見送った。


『空の衛星が調子おかしいんでしょ? 一斉におかしいならあれじゃない? 宇宙から大魔将来るんじゃない?』


「あー、そのパターン!!」


 学校に行く前に、ベルっちから貴重な意見が聞けたのだ。


『残ってるの地と火の大魔将でしょ? 火の大魔将はきっと燃える隕石みたいな姿で宇宙から来る……。ラノベのパターンだとこう』


「あるあるー」


 自分同士で盛り上がってしまった。

 その後、登校しながら、歌みたの原曲の歌手さんから感謝のツブヤキが来てたので返信したりする。


「こちらこそ、歌をお借りしましたー。最高の曲ですー、と」


『元のアニメの動画も再生回数凄いみたいだね』


「そうかあー。凄い経済効果だ……」


『私は凄いのかも知れない』


「うん、そろそろ自覚するか……」


 ベルっちと同化してても、向こうが意識を分離してると会話ができるのは便利。

 一人でお喋りしつつ歩いていると、私を追い抜いていった同じ学校の女子が振り返り、不思議そうな顔をした。


「あれ? 二人分の声が聞こえてたけど」


 いかーん。

 私とベルっちは静かになった。


 私がきら星はづきだと知られてしまうところだった。

 いや、そうでなくても二人に分離できると知られたら、学校生活が色々大変になりそうだからね。


 あと一年、バレないように頑張ろう。


 教室に入ると、なんか委員長がメガネをクイッと持ち上げながら近づいてきた。


「ねえねえはづ……じゃない、歌ってみた動画凄く良かった……じゃなくて、あの動画見た?」


「あっあっ、み、み、見た見た。良かったよねー」


 うひー、自分の動画を良かったよねーなんて背中がかゆくなる~!

 委員長は興奮気味なんだけど、妙に会話をしづらそうで、何か言いかけてから慌てて言い直すみたいなのが続く。


 周りにだんだんクラスメイトが増えてきて、みんなも興奮気味なのだが、どうも喋る言葉がストレートに出てこない。

 何だこの状況は!


「ほんとにこのクラスで良かった! いや、別に、なんか深い意味じゃなくて」「直接本人に会えるもんねえ……。あ、そうじゃなくて」


 なんだろう、この歯にものが挟まったような感覚!

 ベルっちも私の中でしきりに首を傾げております!


 なお、後から登校してきたぼたんちゃんは、遠くからなんか生暖かい表情でこちらを眺めているのだった。

 な、何か知っているのかー!


 とりあえず、クラスメイトがみんな私の歌みた動画を見てくれたことは良く分かった。

 凄く広まっている……。


「この歌みた動画で、配信者の人たちも助かってるみたいだし」「そうそう! ダンジョンが怖くなったけど、動画を流しながらなら戦えてるって! どうなっちゃうんだろうねえ……」


 なんか、今世の中の感覚的に問題なのは地の大魔将で、人工衛星がおかしくなってる方は魔将方面と結びついてない感じかな?

 いっぺんに来てしまう気がする……。

 こういうのはパターンとしてよくあるんだ。


 私はそういうフィクションをマンガ、ラノベ、アニメでたくさん摂取しているので詳しい……。


 とりあえず、来るならば大感謝祭前に来てくれないかなーなんて思う私なのだった。


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