レンジと冷凍庫は人類の叡智
生物が生きていくうえで、切っても切り離せないもの。それは『食事』である。そして、その食事を自炊するか否かは一人暮らしの人間にとって、大きな問題となるのだ。
外食や弁当ばかりでは栄養が偏るし、お金もかかる。……それはわかる。だが、なにぶん自炊はめんどくさい。そう、めんどくさいのです。
自炊をせねばという精神的ストレスは、栄養面同様に健康被害を引き起こす可能性があるし、調理に擁する時間だって節約すべき財産だ。などと、言ってはみるものの、とどのつまりは日曜日に料理なんてしたくない!という訳なんですよ、はい。
そこで私こと、
古来日本では、正月に料理をしなくてもいいように、保存のきく食材を使っておせちを作り置きしていたという。で、あるならば。大和撫子たる私も古式ゆかしい日本のおせちに習おうではないか。……今、全然お正月じゃないんですけどね?
(……というのが
私はのそのそと布団から這い出ると、
「むっふっふ~中々いいんじゃない?」
パカリと開いた大きめのタッパーには、彩り豊かなおかず達が、ぎゅうぎゅうと詰め込まれている。
塩ゆでした野菜達にハンバーグ。後は鮭の切り身にお豆を少々。料理は人に自慢出来るほど得意なワケではないが、自分で食べるぶんには問題ないほどの腕前くらいはある。これも自炊の賜物か。
「それじゃあ、いただきま~す」
味の方は……むむむ。正直微妙だ。いつも作ってるものだと高を括って、味見を適当にやったのが仇になったらしい。完全に塩加減をミスっている。
(一度にたくさん作ると味付けが難しいんだなぁ)
作りおきはその性質上、一度に大量の材料をさばくことになるが、私はまだそこまでの料理スキルを習得できてなかったようです。
また、冷蔵・冷凍することによって生じる食感や水分量の変化なども考えて調理をした方が、より美味しくなるとも考えられます。……まあ、そこまでこだわらなくても食べれるっちゃあ食べれるレベルですけどね。
(でも、どうせなら美味しいもの食べたいよねぇ)
そんなことを考え、私は作りおき料理がパンパンに入っている冷凍庫を眺めた。
「しばらくは私の作ったビミョー定食か。……はぁ」
この料理達を戒めの味とし、これからは調理スキルも磨いていこう。
しかし、楽をするのも楽ではない。なにせ、『
「ごちそうさまでした」
それからもう一つ。感謝の心も忘れずに、ね?
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