第37話 シリルの独白 2
シリルはシャルロットの気持ちを知り、嬉しくて仕方がなかった。
二年という長い期間待たなくてはならないが、その間にシャルロットにふさわしい人間になるためにやることは山のようにある。
しかし嬉しくてたまらないほど、シャルロットが側で笑ってくれているほど胸の奥のどこかがうずく。
あの日のことをなかった事にしていいのか?始まりがそんな不誠実なこの幸せを、シャルロットをだまして掴んだ幸せをこのまま素知らぬ顔をして享受していいのか。すべて正直に話してシャルロットの裁きを受けるべきではないか。
ジェラルドはシャルロットの為に絶対に言ってはならないという。
シリルは真実を告げることで、恨まれる覚悟はできている。
しかし、それを聞いたシャルロットがひどく傷ついてしまうことが怖い。知らない方が、このまま笑顔を失わないで済むのならいうべきでないのかもしれない。
自分が抱えている罪悪感を軽くするための。懺悔をするための告白を、誠実でありたいという言い訳でシャルロットに苦しみを背負わせていいはずがない。
考える度に気持ちが対極に揺れ動く。シャルロットのためにどうすることが一番いいのだろうか。
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