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「信じられねーくらいよく寝た。」
翌朝、スッッッキリした顔の天野さんがベッドの上・・・笑顔で私にそう言ってきた。
「天野さん、寝相悪かったです・・・。」
「俺?・・・それは嘘だろ。」
何故か信じてくれず・・・。
抱き締められていたのは最初だけで、後はとにかく寝相が悪くてシングルベッドに私の居場所はなかった。
「誰からもそんなこと言われたことねーから!」
「そうですか・・・。」
他の女の子は言わなかったらしい。
こういうことは言ってはいけないものだと勉強になった・・・。
天野さんは上機嫌でベッドから立ち上がりリビングへ。
本当に本当に・・・何もなかった。
少し・・・ほんの少しだけ期待していた。
だって、部屋に誘うってそういうことなのかなって。
一緒のベッドで寝るって、そういうことなのかなって・・・。
“まだ処女は貰わない”
そう言われたけど・・・私は処女ではなくて。
天野さんにあげられるモノはもうなくて・・・。
いくら反応が処女みたいだからって、身体は処女ではなくなってるから・・・。
この反応だけが面白いのかもしれない・・・。
処女みたいなこの反応だけが・・・。
天野さんの考えていることが全然分からなくて、全然眠れていないし、なんだか泣きそうになる。
なんだかどころか、勿論泣きそうにる。
「朝からしっかり食べるんですね・・・。」
天野さんが、日本の朝食!というご飯をダイニングテーブルに並べてくれた。
「飯は三食ちゃんと食べねーと死ぬからな。」
「はい・・・。」
怖いくらい真剣な顔で天野さんがそう言うので素直に頷き、朝ご飯を食べさせてもらった。
「お料理上手ですね。」
「うちは弟4人以外は全員家事出来るからな。」
「弟4人以外って・・・何人家族なんですか?」
「12人。」
「それは凄いですね・・・。」
驚きながら天野さんを見ると、天野さんは嬉しそうな顔で頷いた。
「血も繋がらない母親が2人、腹違いのきょうだいが4人、俺の方のきょうだいが5人、それと・・・血は繋がらない兄貴が1人。」
「血は繋がってないのにお兄さんなんですか?」
「養子縁組してくれた母親の実の息子だから。
血は繋がってないけど戸籍上は兄弟になれた。」
「お兄さんのこと大好きなんですね。」
「そう見える?」
聞かれたので、天野さんをよく見てから・・・瞬きをした。
「大好き大好き!って顔をしてますね。」
「・・・あと、腹違いの姉貴のことも好きなんだよな。
血が繋がってても結婚したいくらい好きだった。」
「・・・そうみたいですね。
素敵なお姉さんだったんですね、」
「本当に・・・すげー格好良すぎて、2人とも。
あ・・・あと明(あきら)って俺の腹違いの兄弟だから。」
当たり前かのように“明”と言われ・・・。
首を傾げると天野さんが面白そうな顔で笑った。
「木葉!木葉明!!」
「え・・・人事部のですか?」
「お前でも分からなかったか!」
「はい・・・。
だって、何も似てないですし・・・。」
「副社長も秘書も明には驚いてたな。
それも正解で、明は俺の友達だからな。
あいつだけはきょうだいの枠に入らなかった、最初から。」
一見、木葉さんだけが仲間外れみたいな言い方だけど・・・
天野さんは木葉さんのことも大好きなのが分かった。
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