四つの塔シリーズ おまとめ詩集

仲仁へび(旧:離久)

01 涙の塔



 たくさんの人たちが涙を流す

 その涙が多ければ多いほど

 満たされると思った


 たくさんの不幸を作り出す

 きっとそれはとても美しい光景だと思ったから


 死も虚無も骸も

 憎悪も悲嘆も何もかも愛した


「どうか泣かないでほしい」

「人の涙は美しい」


「あの人の涙を止めたい」

「涙を流すその様をもっと眺めていたい」


 きっと相いれない存在なのだろう


 ならば私を討ちに来れば良い


 私は待っている この涙の塔で

 逃げも隠れもせずに待っている

 ずっと待って待ち続けよう

 

 なぜなら愛しているからだ


 人の涙を愛しているから



「ストーリー」


 人々をこまらせる魔王。

 魔王は涙の美しさに惹かれた。

 だから、もっとその美しいものを見たいと思った。


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