私の隣りの席はめちゃツンクール男子!? 塩対応なはずなのに時々溺愛、甘く攻めてくる相澤くんにギャップ萌え?「そんな彼と本屋さんで一緒にバイトするの!?」
第16話 学校にお泊まり前編「邪魔すんな、お前ら」【相澤くん視点】
第16話 学校にお泊まり前編「邪魔すんな、お前ら」【相澤くん視点】
「塩対応男子の相澤くんは、となりの席のめちゃカワ女子の咲希ちゃんに素直になれない」
「……瀬戸。お前、なんかの冗談か? それとも俺にケンカ売ってんの?」
俺、
そう、俺は晴れてずっと想い続けてきた女の子、咲希と付き合うことになった。
となりの席の女子に恋してること、早い段階で空手仲間で腐れ縁の瀬戸にはバレていた。
「おお、怖〜! 相澤がイジメるって咲希ちゃんに言いつけちゃおうっかな」
「……あのなあ、瀬戸。俺のカノジョを気安く下の名前で呼ぶんじゃない」
瀬戸がニヤリと笑った。
コイツは俺がいくら無愛想に接しても態度が変わらない。変わらずに、『友達』でいてくれてる。
「良いじゃん。下の名前で呼びあってさ、みんなで仲良くしよ〜。なあ、
「やめろ。俺は、瀬戸に楓とか呼ばれるとむず痒い」
「なんでよ〜。俺のことも
「イヤだ。却下――」
放課後の教室で瀬戸にうざったく絡まれていると、咲希が生徒会長と戻って来た。
――ドキ……ン。
俺は咲希を見るたびに、ドキッとする。
ああ、コイツ、可愛すぎんだろ。
「相澤くん、お待たせ」
「あら? 二人でまたじゃれ合ってたの? ちょっと妬けちゃうわ」
「誰がコイツとじゃれ合うか」
「俺には綾菜だけだよ〜。嫉妬しないで大丈夫。相澤はただのおもちゃだかんね」
「誰がお前のおもちゃだよ。ふざけんなよ」
「玲太、今のは玲太が悪いよ。謝って」
「ごめんごめん。ああ、そういや相澤が咲希ちゃんのこと好きでたまらないって言ってたよ」
「はあっ!?」
瀬戸の言葉に咲希がボッと顔を真っ赤にする。
か、可愛い。
まあ、瀬戸の言うように、俺が咲希のことを好きでたまらないっていうのは間違ってはいない。
そそくさと瀬戸は生徒会長の方へ行って、二人は「じゃあなあ」「じゃあね」と言って帰っていく。
うるさい奴が帰ると、やけにしーんと静かになるな。
残された俺と咲希は、しばらく沈黙のなかにいた。
……な、なにを話そう。
いつもなにを話してた?
俺は急にドキドキが襲ってきて、照れくさくって咲希の顔がまともに見れなくなる。
「相澤くん……」
「んっ?」
咲希がもじもじして、言いづらそうにしている。
どうしたんだろう?
「学校合宿の日にね、天体観測会とホタルの鑑賞会があるでしょ? どっちに参加する?」
「どっちも楽しそうだな。俺は咲希が参加したい方にする」
どうしてこんなに咲希が恥ずかしそうになってる?
言いづらそうにするような話題だろうか?
「あ、あのね。……ホタルを見つけて……からね」
「うんっ?」
「さっき綾菜ちゃんに教えてもらったんだけど……、カレカノで校庭の裏の小さな神社の池でホタルを見つけてね、愛を誓い合ってキスするとずーっと二人は一緒にいられるんだって!」
プッと吹き出して笑い出しそうになるのを俺はこらえた。
だって可愛すぎ!
それを言うために、咲希はしばらく恥ずかしそうで、一大決心したみたいな真剣な顔してたんだって分かってさ。
「あ、相澤くん、笑ったでしょ! 私がそんな噂話信じてるのは幼稚だって思ってるんだ」
「べつに、そんな幼稚だとか思わねえよ。ロマンチックってやつじゃんか。良いと思うぜ」
「あー! 絶対にバカにしてる〜」
やべえ、すげえ可愛い。
咲希のほっぺを膨らませて拗ねて、むすくれた顔がたまんない。
俺は思わず、咲希をぎゅうっと抱きしめた。
「バカにしてねえよ。可愛すぎんだ。咲希のそうやって困った顔も……拗ねた顔も。あのさ、もっとからかっていじめても良い?」
「や、やだ。……相澤くん、あんまりからかわない……で」
俺は話してる途中の咲希の唇に口づけた。
塞いだ唇は柔らかい感触で、その甘さにピリッと胸が痺れる。
「ホタル、一緒に見ような」
「う、うん……」
恥ずかしいからか、すっかり塩らしくなってしまった咲希を俺は抱きしめた。
咲希の華奢な体は俺の影にすっぽりとおさまる。
「咲希。これから学校合宿の買い出し、行こうか? タオルとかシャンプーとか……、あとなんだろうなあ。まあ、いろいろさ、咲希も必要なもんあるだろ?」
「うん」
「どうした? 咲希、もしかして眠い?」
「ううん……。相澤くんがあったかいなあって思って」
「そっか。咲希もあったかいな」
「あったかい? そっかあ、えへへ……」
「ああ……。こういうの、良いな」
「えっ?」
「咲希と抱きしめ合ってじっとしてる、……これだけで俺、かなり幸せ」
「あっ、うんっ! 私も! 私も幸せだよ、相澤くん」
穏やかで……、二人で抱き合ってる時間。咲希といるとめっちゃドキドキすんのに、ホッとする安心感があって。
なんだろうなあ。
咲希、俺はこいつのそばが、一緒が……、とてつもなく。
……すげえ、俺、居心地良いや。
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