初デート2
「薫、付いて来て♪」
涼音はとても楽しそうに道を進む。
「なぁ、涼音、本当にここであってんのか?」
「うん♪」
涼音が薫を連れて来たのは見るからに高級そうな店だった。
そんな店であって、不安そうな薫を涼音は気にせず連れて店に入る。
「いらっしゃいませ」
出迎えてくれたのは如何にも老紳士といって過言でない老人だった。
「久しぶりです。アンドレイさん」
「久しぶりだな。涼音」
なんだかアンドレイと呼ばれた老紳士と涼音は妙に親しいな。
薫は気づいていなかった自分の心の奥深く、普通の生活を送っていたなら決して出ることのない程深く暗い底に何か芽生えたことに。
「知り合いか、涼音?」
「うん。この人はアンドレイさんでお父様の持つ店舗の一つの店長さん。こう見えてもアンドレイさんはお父様にその能力を買われてお父様直々に引き抜いたエリートなの」
「涼音のお父さんが直々に・・・それはすごいな」
「貴方が薫君だね」
「は、はい」
アンドレイさんの声は表面上は優しく聞こえるけどよく聴けばその本質は俺を警戒しているとわかる。
「涼音から聞いているよ。なんでも相当な才を持っているらしいね」
あー、これラノベ相手を見定める質問感半端ないなー。
とりあえずここは当たり障りなく。
「そんなことありませんよ。才はあるかもしれませんが、俺は天才ではありません。それと一つ気になっていたんですが」
「なんだね」
「どうして涼音のことを呼び捨てにしてるんですか。仮にも彼女は貴方の雇い主の娘さんですよ」
これは最初から気になっていた。
涼音の両親は日本でもトップクラスの大企業の社長だ。
そんな人たちに雇われている人の一人がこんな気安く涼音を呼び捨てで呼べるはずがない。
「あーそれはね、先程私は切嗣様が直々に勧誘したと言いましたね。その時涼音が一緒いてなんでもファッションについて教えて欲しいと頼みこんで来たんです。その時に切嗣様が師事するなら涼音を呼び捨てで呼んで欲しいと言われたので。私は涼音を呼び捨てにしているんですよ」
なるほど、そうする事で涼音が俗に言う我儘お嬢様にならない様に上下関係を学ばせたのか。
「なるほど。ありがとうございます」
「いえいえ、それより早く涼音の方に行ってください」
俺は涼音の方を向くとプクーと頬を膨らませていた。
「長話しすぎましたね」
「そうですね」
俺は急いで涼音の方に向かう。
「遅い!」
「悪い悪い」
「んー!ほら早く見よ!」
「あはは・・・」
俺たちは店の品を吟味した。
「それにしても安いな」
この店の品の大半は諭吉一枚を超えてなく。
学生でも買えなくはない程の値段でお手頃だ。
「決められましたか?」
アンドレイさんが聞いてきた。
「んー、いい品が多いし値段もお手頃だから悩みどころです」
「そうですか・・・ならどんな用途で今回は買いに来たんですか?」
「どんな用途?」
「はい。例え彼女への贈り物や友達の誕生日プレゼントなどそれぞれの用途によって最適なアクセサリーがあります」
「なるほど」
「ですので、それをお教えいただければ私が最適な物を選出いたしましょう」
確かにプロに選んでもらった方が確実か。
「ならお言葉に甘えて。今回は想い人に贈るようなのでそれでお願いします」
「分かりました」
アンドレイさんは俺の要望を聞き店の裏へと行った。
「どれにするか決まった?」
「いや、今アンドレイさんに選出してもらってる」
アンドレイさんが裏に行ってから5分後裏か出て来た。
「お二人ともこちらです」
そう言って俺たちは会計をする台へ移動した。
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