第19話 ゴブリンキング対策
「クリード様、さすがにそれは……」
サーシャが沈黙を破って心配の言葉をくれた。
けど大丈夫だよ。
「大丈夫だよ。俺の耐久力と素早さは知ってるでしょ? 単独で戦うわけじゃなくちょっかいかけて逃げるだけだし大丈夫、ゴブリンなんかに追いつかせないさ」
ウルトのことはこの場では言わない方がいいと思ってこれだけしか言わないけど、言葉足らずかな?
あとでしっかり説明しないとな。
「作戦としては悪くないと思うけど……まぁ詳しくは一旦宿に戻ってから詰めましょう」
「そうですね……てはギルドマスター、他にお話はありますか?」
「いえ、ありません。あとは依頼が終了してからということで……」
「分かりました。では私たちは今日はお暇させていただきます。今夜は休んで明日また出発しますので」
「分かりました、お気をつけて」
ギルドマスターと職員さんに見送られて会議室を出ると、別の職員が扉の前で待機していた。
「表は騒ぎになっていますのでこちらからお帰りください」
「あぁ、ありがとう」
職員に案内され裏口から冒険者ギルドを出て露店などで色々買い物をしながら宿に戻った。
「さてクリード様、囮の件ですが、詳しく説明お願いできますか?」
部屋に入った瞬間にサーシャが問いかけてきた。
説明するつもりだったし説明すれば分かってもらえると思うんだよな。
「うん、俺が考えてるのは俺とウルトでちょっかいかけて逃走、追いつかれそうになったらウルトを巨大化して壁にして逃げ切ることかな」
そう説明すると、みんなは納得顔になった。
「なるほど、それなら危険は少ないですね」
「だろ? 他にもウルトが森の中でも走れるなら跨って逃げるとか、リンにも来て貰って魔法で攻撃して貰ってからウルトに乗って逃げるとか……そういうの考えてたんだけど、どうかな?」
多分俺単独でも問題は無い。
けれど念には念を、ウルトが一緒なら大丈夫なハズだ。
「あたしはアリだと思うわよ。ウルトが森の中を走れるのならあたしも行って高威力の魔法ぶちかませばかなりのダメージになるだろうし」
「森とか洞穴で戦うよりは遥かに安全だと思うんだ」
「確かにそうですね」
問題はウルトが走れるかだけど……
『問題ありません、どのような場所でも走破して見せましょう』
「頼もしいな、なら俺とリンを乗せて走ってくれ」
『お任せ下さい』
話は纏まったな。
あとはしっかり休んで万全の体制で挑むだけだ。
しかし本当にウルトは凄いな、頼りになる。
「では休みましょうか。その前にクリード様、汚れを落としておきましょう」
サーシャはそう言って俺に浄化魔法を掛けてくれた。
「はい、これでさっぱりして休めると思います」
「ありがとう。魔法って便利だな……ちなみに俺にも浄化魔法って覚えられるの?」
収納魔法の時は魔法適性のスキルが無かったから無理だって言われたけど今なら覚えられるかな?
「クリード様には光魔法の適性もありますので比較的簡単に覚えられると思いますよ」
「そうなんだ、じゃあ今度教えてくれない?」
「はい! もちろんです!」
サーシャとリンが使えるなら覚える必要は無いのかもしれないけど覚えておいて損は無いだろ。
「これから忙しくなるわね。ソフィアとアンナから戦い方や立ち回りを学んであたしから攻撃魔法学んでさらにサーシャちゃんから光魔法まで習うなんて……」
「あ……そうだね、中途半端にならないように頑張るよ」
完全に忘れてた……魔法覚えられるってことに意識が行き過ぎて大事なこと忘れるとか小学生かよ俺は……
「慌てることはありませんよ、ゆっくり力を付けましょう!」
「そうだね、ありがとうサーシャ」
しっかり頑張ろう……ウルトが居るからって甘えるだけじゃカッコ悪いしな!
「よし、じゃあ明日も8時に食堂でいいかな?」
「そうね、クリード寝坊しないでよ?」
失礼な、俺は小学校時代から寝坊なんて一度もしたことが無いのが自慢なんだ。
「朝には強いから大丈夫だよ、じゃあおやすみ」
「おやすみなさいクリード様」
「そうだ、ウルト着替え出して……それから今夜もこっちで警備しててくれ」
『かしこまりました』
挨拶を交わして自室に戻る。
体も服も綺麗にしてもらいはしたが同じ服と下着で過ごすのは少々気になるので着替えてからベッドに入る。
明日は大仕事が待っている。しっかり休んで疲れを――
「そういえばあんま疲れてないな……」
あれだけ戦ったのに疲れが全然残っていない。
もしかしたら明日一気に来るのかもしれないが多分それも無いだろう。
ならば俺にそれだけの体力があるのか?
生命力がBに上がっていたのが関係してるのかな?
「考えても仕方ないか……体力付いたならラッキーくらいに思うようにして無理はしないようにしないとな」
アラームをセットして布団に包まり眠る。
明日からも頑張ろう――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます