第24話 セシリアの欲しかった物
「ごちそうさまでした。セシリア、このベーコンエッグっていうのは凄いね! ビックリしたよ」
「うむ。卵と豚が、こんな料理になるとはな」
という訳で、昨日もらった卵とベーコンで、朝食を作ったんだけど……鶏の種類が違うからなのかな? オムレツを作った時も感じたんだけど、黄身の味が濃い気がするのよね。
ヴォーロスもセマルグルさんも沢山食べてくれたので、結構卵を消費出来た。
いくら冷蔵庫があると言っても、いつまでも保存出来る訳じゃないので、ちょこちょこ使っていこーっと。
そんな事を考えつつ、後片付けをしていると、
「さて。旨い料理で腹が満たされたし、そろそろ行ってくる。ヴォーロス、セシリアを頼んだぞ」
「うん、任せてー!」
「気を付けてね。いってらっしゃーい!」
セマルグルさんが海に向かって飛び立って行った。
というのも、私がもう少し塩が欲しいとポロっと言ったのを聞かれてしまったのと、前に食べた大きなイカ――クラーケンが想像以上に美味しかったからなのだとか。
お好み焼きは前回作ったし、次は何が良いのかな?
醤油があれば、お刺身なんてのも良さそうだけど、流石にこっちのイカを生で食べるのは危険かも。
「……じゃなかった。先にやる事をやらないとね」
モコモコのシロに朝ごはんをあげると、新たに作った作業スペース……アルミで作った屋根の下に置いた作業机で、早速モーターと他の必要なパーツを作っていく。
何度か試行錯誤を繰り返し、これくらい……かな?
「セシリア。この薄い板を曲げた、これは何なの?」
「あ、これ? 昨日、凄く早く回る泡立て器を作ったでしょ? あれの応用かな」
「薄いけど、大きな板だし、もっと沢山の物をかき混ぜるの?」
「次のは、動きは同じなんだけど、かき混ぜる訳じゃなくて……こうするのよ」
一番の肝となる部品……薄いアルミの羽を、作成済みの他のパーツに組み込み、手で強く回転させてみる。
「あー、風が来た」
「そう! 扇風機って言って、昨日の泡立て器みたいに早く回せば、風を送る事が出来るのよ。もっと熱くなったら、これで涼しく……って、セマルグルさんの氷魔法があるから、それはまぁいっか」
「あれ? じゃあ、この扇風機っていうのは、作ったけど使わないの?」
「ううん。この扇風機に、もう一つ機能を足すと、私が欲しい物の一つが出来るんだよ。けど、ここまで出来たら、ほぼ出来たも同然だけどね」
首振り機能やタイマーなんかは無い、物凄くシンプルな扇風機が完成したので、同じ物をもう一つ作り、今度は風を送る所に筒というか、ノズルを付ける。
そのノズルには、オーブンや簡易コンロで使っている熱源と同じで、コイルみたいにクルクル巻いた金属の線を仕込んであるので、
「ヴォーロス。何度も、ごめんね。お願い出来るかな?」
「うん、いいよー。……あ、凄い。これ……温かい風が出て来た!」
「やったー! 出来たー! 手で持って使う程に小型化は出来てないけど、ドライヤーの完成ねっ! これで、水浴びの後に早く髪の毛を乾かせるわっ!」
小型化は、またいろいろと調整が必要そうだから、私の身長よりも少し上から、斜め下に向かって温風を送るようにする固定式のドライヤーという事で、冷蔵庫に次ぐ欲しかったの物の一つが完成した。
どうしても素材が金属ばっかりだから小型化しても重そうだし、ドライヤーとして使う事は出来るので、これはこれで良しとしようーっと。
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