第十一話 Black That Flickers Like Flames
次の日、デパート前。
特攻部隊、処理部隊、回収部隊、前回と比べると、特攻部隊は1名減り、処理部隊は3名増えている。
そして今回の作戦では銃の使用が制限されている、それはこのデパートは一般人も出入りするからだ。
カゲロウ対策特別部隊の存在を世間はまだ知らない、そのため痕跡を残さぬよう銃の使用が制限する事になった。
「これより、デパートカゲロウの巣殲滅作戦を始める、メール等で事前に連絡した通り、今回は銃の使用を制限する、そしてデパートを効率的に探索するために戦闘部隊を5つに分ける、その為発砲許可を下せる分隊長を選考した」
勇我はポケットからメモ帳を取り出し読み上げる。
「戦闘部隊は、血染野、夜刃、弩衛、泥闘、風通!」
「「はい!」」
血染野彼、戦闘部隊では数少ない女性で冷静に問題を対処出来る。
夜刃狩刀、刃物の使用に長けており、1度勇我を負かした事がある。
弩衛優護、彼は特攻部隊で群を抜いて体格が良く、周りを良く見ている。
泥闘蹴飛、総合格闘家で勇我とは部隊に入る前からの仲。
風通身空、彼女は犯罪者であり、元は金を稼ぐ為に部隊に入ったが、今は償いの為、情熱に溢れており、頼りになる。
「戦闘部隊の分隊長は以上、次に処理部隊の分隊長」
勇我はメモ帳のページをめくり、読み上げる。
「処理部隊は細捜、探部、察巣、隈無、見検」
「「はい!」」
細捜建、処理部隊隊長賢衆が一番信用している隊員。
探部見詰、元特攻部隊、2年前に負った怪我で足の動きが悪くなったが彼の希望で処理部隊に所属している。
索巣壊笥、元空き巣、その手を買われ、処理部隊に。
隈無工、建築家との繋がりがあり、多くの作戦は彼が持ってくる設計図のおかげと言える。
見検消霧、運動が苦手であまり動かない処理部隊に入った、賢衆の事が好き。
勇我はメモ帳のページをめくる。
「処理部隊は以上、次に回収部隊」
勇我は名前を読み上げる。
「運回、送研、穫拾、収囚、持積」
「はい!」
運回帰援、回収部隊の最古参であり、多くの隊員が彼を信頼している。
送研白真、普段は引っ越し業者で、カゲロウを丁寧に運ぶ。
穫拾肢搬、掃除業者をやっており、細かいカゲロウの部位も見逃さず、回収する。
収囚只、ホームレスだが、ごみ拾いの手際の良さを買われて、ここにいる、今は帝使の家に居候している。
持積庫磨、大学生、いつもは研究素材を運んでいる。
「以上、織田、これから突入する」
「分かってる、もう自動ドアとかのセキュリティは突破してるから、いつでも行けるよ」
「じゃあ、分隊ごとに並べ!」
分隊長達は前に出て、その後に続いて、隊員は並ぶ。
「走、てめえはここだ」
泥闘が走を呼ぶ。
走は泥闘の目付きに少し怯えながら、列に入る。
「よし……作戦開始!」
全員、デパートに突入する、その後、各隊担当の階に向かう。
「俺達、第4分隊は地下の倉庫を探索する、事前調査の時にここで隊員が襲われた、注意しろ!」
「「はい!」」
「特攻部隊は二手に分かれ、最後に冷蔵倉庫を調べる、処理部隊、回収部隊は特攻部隊に続け」
「「はい」」
第4分隊は二手に分かれ、カゲロウを探す、いろんな所でカゲロウの呻き声が響く中、泥闘は走と行動していた。
「ギャッ」
「まあまあだな」
「はい?」
「そのサイズのカゲロウなら一撃で仕留めろ、まだ力が足りない」
「はい!」
「ちょっと壁に寄れ」
「こう、ですか?」
「ああ」
――なんだ、急に。
走が考えている間に泥闘は走の腹を殴った。
「ウッ……ウウェ」
走の口から唾液が垂れる、泥闘は走の襟を掴む。
「なんで、お前みたいな奴に俺が相手しなちゃ、なんねぇんだよ! 勇我の頼みだから受けたんだ! お前は何でこんな所にいる、テメェみたいな奴が来るとこじゃねぇん、だよ!」
泥闘は走の腹を数えられないほど蹴る。
「僕は……強くなりたい、関崎さんや、網繋さんは今年で、卒業する、そうなったら、僕が学校を守る」
走は真剣な目付きで泥闘を見つめる。
「ハッ、目標があるなら結構、死ぬなよ」
泥闘は冷蔵倉庫に向かう。
「フン、なんだあの人は」
「なんか言ったか?」
「なんも、言ってませんよ」
冷蔵倉庫前。
「よし、司令部隊、開けろ」
「分かりました」
冷蔵倉庫のドアが開く。
「気を付けろ」
「また来たのか」
ヒト型のカゲロウが両手を上げながら現れる。
「降参か?」
「人間はこの状態の人間は襲わないと聞いた」
「勉強不足だな。それは警察とかのルールだ、俺達は平気で撃つ」
泥闘は拳銃を構える。
「そうか、では必要ない」
カゲロウは両手を下げる。
「ここにカゲロウは何匹居る?」
「デパート全体はわからないが、この倉庫にはもう私しかいない」
「そうか、じゃあてめえは何で出てきた」
「さっき言った通り、降参したからだ」
「他に理由は?」
「……聞きたい事がある」
「もう撃つか」
「頼む、聞いてくれ」
「……分かった、ただし、1つだけだ」
「感謝する。質問はそうだな、部隊に侵入したカゲロウは今何をしている、死んだか?」
泥闘は多少動揺するが、すぐに元に戻る。
「何を言ってる」
「侵入したんだ、カゲロウが君達の部隊に。2匹」
「誰だ、誰に化けた」
「今は関係ない、答えろ、でなければ」
「泥と……うさん」
「隊……長」
「お前ら」
泥闘は振り返る、後ろで黒い液体が隊員達を囲んでいる。
「5人ほど、一瞬で殺せる、さあ答えろ」
「知らん、俺達は今カゲロウが侵入している事を知った、多分隊長達も知らないだろう」
「そうか、私は君達の味方だ、だから教えたんだ、もうすぐ、私はあの人に始末される」
「あの人? あの人は誰だ!」
「それは……」
カゲロウが喋り終わる前にカゲロウの体は霧散した。
「終わったか」
「撤退ですか?」
「ああ、俺は今の出来事を他の部隊に言いに行く、特攻部隊と処理部隊は直帰、回収部隊はカゲロウの部位を回収、走は事情を勇我達に説明してこい!」
「「はい!」」
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