付き合ってる?

えりの恋は、うまくいったと確信したが、結果を聞くタイミングがなかった。

えりはいつも友達の愛花と一緒にいる。

湊は自分の境遇やえりの事を、愛花にも知られたくなかったので、なかなか話しかけられなかった。

(谷川が喋ってそうだけど…)


話せたのは、あれから一ヶ月後の10月だった。


えりが一人で帰って行くのを見つけたので、湊は追いかけた。

追いついた時に、何も言わず、えりの肩にポンと手をかけた。

「わっ!」

えりのびっくりした声に、湊もびっくりした。

「ごめん。驚かそうとしたら…」

「びっくりした…」

えりは、湊を見て笑った。

湊も笑った。

「この前の、どうなった?」

「え、えっと…」

「うまくいったんでしょ?」(あれ…?)

「うん…」

「付き合ってるんでしょ?」

「うん…」

「良かったね。…。…って、何?」

「…あのね」

「うん?」

「遠恋になって…」

「え?」


えりの話を聞くと、あれから一週間後、えりとパブロは遠恋をすることになったらしい。

期間は2年。


パブロは最初、遠恋になるからえりとは付き合えないと思っていたらしい。

でも、湊の策略にイライラして、つい告白をしてしまって、付き合うことになったとのことだった。

そんなパブロは、えり曰く、留学先が遠すぎて、電話もできないし、手紙も届かないらしい。

湊はそんな場所があるとは、到底思えないが、まぁ、そういう事なんだと思う事にした。

ただ、えりが騙されていたんだとしたら、余計な事をしてしまった事になる。


「騙されてない?」

「え?」

「騙されてない?」

「大丈夫だよ」

えりは笑顔で言った。

「そう?」

「家族公認だから」

えりがあまりにも堂々と言うから、湊は素直に受け入れることにした。

「良かった。俺、余計なことしたかなって」

「全然。ありがとう」

「いいえ」(セーフ…)

えりは幸せそうだった。






※遠恋の話は

『彼は魔法使いで意地悪で好きな人』(同作者)で!

是非読んでみて下さい。

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