ゴールデンワーク〜アットホームないい職場です〜

草ノ宮哀三重盛

第1話 「祝日は甘え」

私の名前は、一下夏音(ひとした かのん)!

この春、大学を卒業して黒田総合商社というところに入りました。ここの会社の人達は時々厳しいけどその反面、優しさと思いやりがあって頼りになります!私が辛かった時にかけた言葉が今でも私の心の支えになって…ふふ。おっといけません。


その時の恩返しも兼ねていつかここの人たちみたいに頼れる大人になることが目標だったりしてます!えへへ、今の私はダメダメですが。…なれるといいなあ。


あっそうそう。今日、会社の特別な催しが開かれるというのです。

世間ではゴールデンウィークという忌々しい期間が始まっているのですが、ウチの会社ではその愚かしい波に呑まれず、交流会というとても生産性のある催しが開かれるそうです。交流会では、モチベーションの上昇を狙うため、社員全員が部署を異動となって新しい配属先で新しい仲間たちと切磋琢磨し合うらしいですね。


まだまだ新入社員である私には、この交流会はとても助けになります!なぜなら、会社の中のつながりを増やしやすいからです!私はもともと、人付き合いは苦手なので、こういうチャンスを逃してしまうと新しいつながりは作れません。この交流会を作った黒田総合商社は素晴らしいですね!


『つぎはーつぎはー○○駅ー○○駅ー』


おっと、もうそろそろ降りなきゃいけませんね。新しい出会いが待ちきれなくて忘れかけちゃいました。


…おや、携帯がブブンとなりましたね。


何の通知が来たんだろう。私はスマホをカバンから取り出して画面を開きます。そこには、見慣れたアイコンが映っていました。私の友達、葵ちゃんでした。ラインを開いて内容を確認することにします。


『おはようのんちゃん!会社頑張ってね!』


葵ちゃんは、毎朝こうして私にエールを送ってくれます。そのエールは私の励みになるので、とても嬉しいです。このまま返信しないのは失礼なので、返信を送ることにします。


『うん、葵ちゃんも頑張って』


と返信を返すと…


『右側のドアが開きます』


ドアが開いたことに気づかなかった私は、慌ててスマホをしまい、電車から降りました。時々他の人の肩とぶつかってしまいます。


しっかし、何年経ってもこの人の多さは慣れませんね…

それでも、この胸の高まりは抑えられるものではありません。


行きましょう、会社に!

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