滲む血は他人の血
俺がバイト先の先輩と無理心中のあった廃屋に行ったときは兄の左耳が裂けて取れかかり、従弟と一緒に処刑場跡に行き記念撮影をした翌日には台所にあるはずの菜切り包丁が兄の枕元に置かれており頬から顎にかけて盛大な切り傷を作ったので、どういう仕組みかは分からないが俺が何かをやらかすと兄が怪我をするので、兄の立場からすれば俺のことをぶん殴ってやりたいと思うのが当然だろうに、何故か兄はどれほど怪我が増えても「兄弟だから仕方がないだろう」と笑うばかりで、そもそも俺と兄とは血が繋がっていないのにどうしてそんな顔ができるのかを不思議に思いながら、俺はその頬に貼られたガーゼに薄く滲む血を見つめている。
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