台風一過のち一員
小さい頃、台風の翌朝庭にいた顔のない子供に誰だと聞いたら「お前の兄だ」と答えたので、じゃあ庭先になんぞいるなと家に招き入れたが両親にも特に何も言われることなく当然のように名前を呼ばれ食事もきちんと出されていたし、翌朝俺を起こしに来たので適応の早さに驚いたりもしたが、その後も何事もなく家族の一員として扱われ、今では真っ当に就職し一人暮らしを始め月に一度は実家に顔を出す親孝行な兄というものになったが、顔を見るたびあの日俺の兄を主張した理由が気になりはするけども、今更理由を知ったところで手遅れなのだろうなと、ビールを手に新聞を眺める家族の誰にも似ていない兄の横顔を見つめながら思う。
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