次は君の順番だ

 八連勤明け、交通量の多い道路を横目にできるだけ派手で高そうな車目がけて飛び出してやろうかという八つ当たりじみた思考を振り払ってどうにかアパートの自室前まで辿り着き、重たい玄関のドアを開けると「おめでとう!」と親愛溢れる掛け声と共に何かが顔面に向かって勢いよく飛んできたので、咄嗟に受け止めてから恐る恐る手元を確認すると淡い黄薔薇の花束を鷲掴みにしていて、声の主を探そうにも玄関から見える室内はただ暗く静まり返っており、冷たい闇に薔薇の香りだけが滲んでいる。

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