嘘から出た兄
バイト先の雑談で自分のことを他人に話すのが嫌だったので居もしない兄との思い出話や無難な日常のエピソードを適当に作っていたのだが、そのうち兄のことを聞かれるのも面倒になり首を吊って死んだことにしたら、夜ごと枕元に見知らぬ首が現れては「兄さんお前と約束してた映画行けそうもないや」「またお前と一緒に飲みたかったのに」「お前冷蔵庫空っぽじゃんか体壊すぞ」といかにも兄らしいことを話しかけてくるようになり、何もかも間違っているのは分かっているのにその掠れて荒れた声がひどく優しいせいで、俺はこの生首を嘘つき呼ばわりすることができずにいる。
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