年に一度、期間限定フレーバー

 初夏と梅雨との合間の一日、年に一回叔父がドライブの口実で車でどこにでも連れ回してくれる日があったのだけど、どこに行こうと最後に知らない人の墓参りをすることになっていて、その墓にいつも期間限定の微妙なフレーバー飲料を供えるのでその理由を尋ねれば、叔父は「こういうのが好きなやつだったから」と笑うばかりで、いつも帰りの助手席で人肌になったそれを飲む羽目になるまでが恒例だった。

 そうして今、いざ自分がその立場になってみると供えて相手が喜ぶものを知っているというのは結構なことだったんじゃないかと、俺は花さえない空っぽの墓前で夏日に灼かれる叔父の戒名を見つめている。

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