第16話
ダンジョンを出てギルと解散した俺達はいつものように宿に戻ってきた。
ディアンがいつもより険しい顔で座っている。
「ただいま、ディアン。どうかしたのか?」
ディアンはゆっくりと口を開く。
「ついに、あの女が動き出したぞ」
「あの女?」
「ああ、魔法の神マナスフィアだ」
マナスフィアと言えばディアンが言っていた神器の情報を持ってるかもしれない神様か。
「それにしても動き出したって?どういうことだ?」
マナスフィアについて説明を受けた。
マナスフィアは魔法の神であり、魔法に関することなら何でも知っている。そしてその知識とマナスフィア専用魔力を使いこの世界の魔力をコントロールしているらしい。
しかし、最近になって魔法国家ミレニア付近の魔力の流れが悪くなっていたのでディアンが調べていたらマナスフィアの魔力を感じたそうだ。
「それなら神器の居場所を知るためにミレニアに向かってマナスフィアに会いたいな」
「そういう事だな、だから明後日にでも出発しよう。歩斗もやり残した事があれば明日までに済ませておけよ」
ーー
次の日はルベルトとギルの待ち合わせまで時間があったので買い物に出かける。
昨日のドロップ品のマントには敏捷を上げる効果あるみたいなのでそれに合う装備を揃えようとまず防具屋さんに向かった。
「すみません、このマントに合いそうな装備を探してまして……」
店主は渋々答えてくれた。
「あんちゃん予算は?見たところ金持ってなさそうだけど?」
「あー、銀貨15枚くらいですかね?」
「じゃあこれとかどうだ?今ならセット価格で安くしておくぜ?」
出されたのは黒の革の鎧一式だった。
「いいですね!これにします!」
試着してみるとサイズはピッタリだったので早速購入した。
その後、ルベルト達と合流してギルのオススメの酒場で昼過ぎから飲んだくれた。
ギルがトイレに行った隙にルベルトが話しかけてくる。
「アルトどうした?ハイペースでお酒飲んでるけど何かあったのか?」
実は……と話し始める。
自分は神器を探す旅をしている事、明日には魔法国家ミレニアに向かうこと、今日は2人に会えて楽しかった事を伝えた。
するとルベルトが優しく微笑む。
「僕たちはいつでも君の味方だよ。神器を探す旅だっけ?僕はついって行っちゃダメかい?」
「ついてきてくれるなら嬉しいけど本当にいいのか?」
「もちろんさ!君が困った時は助けになるよ」
トイレからギルが戻ってきたのでギルにも伝えた。
「オレもアルトの力になりたい。一緒に連れていってくれないか?」
2人の気持ちが嬉しくて泣きそうになった。
「ありがとう。これからよろしく」
それから数時間もの間飲み続けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます