私たちの一年

秋乃落葉

第1話 出会い

 飛行機雲が青い空を背景にしてはっきりと見える日に、私は中学3年生になった。玄関前に貼られたクラス替えの大きな紙。自分の名前と友達の名前を同じクラスの欄で見つけて喜んでいる人もいれば、今年も仲のいい友達と同じクラスになれなくて悲しんでいる人もいた。藍川郁桉(あいかわ ゆあ)、私の名前は3年3組の欄に書かれていた。残念ながら、今年も親友と同じクラスになれなかった。自分のクラスを確認して、2年生の時に使っていた教室から自分の机を新しい教室に運び、黒板に貼られた名前順の座席になるように並べた。中学に入ってからたくさんの友達ができたから、一度も話したことのない人はほぼいない。

 と言いたいところだったが、友達と話していると、一番後ろの列でうつ伏せになって寝ている彼に気づいた。まだ剥がされていない座席表を見ると、彼の席のところに和泉匠(いずみ たく)と書かれていた。確かこの2年間で一回も話したことがなかった。

 そう思っていると、担任の木崎先生から学年集会を体育館で行うと言われ、クラスで廊下に並び、体育館に行った。

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