第5話 あたしへ、だけじゃなく

きみの


 あたしの頬を包むように触れてくれる右手に


 肩からうなじに滑る左手に


 時にはそっと

 あるいは強く

 抱きしめてくれる両の腕に


 あたたかな頬に

 こつんと合わせる額に


 なめらかな肩に


 広い背に



きみの


きみの

すべてに口づけたい




あたしからも、きみへ

この想いが伝わるように


あたしばかりが

幸せをもらっているような気がするから



ねえ

あたしへ、だけじゃなくて


あたしもきみに触れて

あたしもきみを抱きしめたい



あたしも

きみを

幸せにしたいの








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