第13話
純礼: 「この石と通信を行うことはできないの?」
啓太: 「通信する方法があれば、石に秘められた情報にアクセスできるかもしれないね。」
貴仁: 「その通信方法を見つけることができれば、メッセージの意味も理解できるはずだ。」
純礼: 「そうね、この石には何らかの方法でアクセスできるはず。」
貴仁: 「この石に幅広い周波数の電波を当てるのはどうだろう。RFIDとすれば、電波を当てれば反応があるはずだ。」
啓太: 「それはいいアイデアだね。試しに電波を当ててみよう。」
純礼は腑に落ちない表情をしている。電源もないのに。ただ電波を当てるだけで何ができるのか。
貴仁: 「まず、パッシブ型RFIDについて説明しよう。」
啓太: 「そうだね、パッシブ型RFIDは、電源やエネルギー源がなくてもデータを取り出すことができるんだ。」
純礼: 「どうやって?」
貴仁: 「パッシブ型RFIDタグは、外部から電波を受け取ることでエネルギーを得る。読み取り装置が電波を発し、タグがその電波をアンテナで受信するんだ。」
啓太: 「その受信した電波エネルギーを使って、タグ内の情報を読み取り装置に送信する。」
純礼: 「なるほど、だから電源がなくても情報が取り出せるのね。」
貴仁: 「そうだ。今回の場合、この石がRFID技術を使っているとすれば、適切な周波数の電波を当てることで、石からデータを取り出すことができるはずだ。」
貴仁は実家に戻り、瑛介が遺した研究設備を使って石に様々な周波数の電波を当てる装置を組み上げることにした。彼は瑛介の遺品の中から、資料を見つけた。過去に瑛介も同じことを試していたようだ。
貴仁: 「ほんとうに父さんはすごいな。」
啓太: 「やっぱり瑛介さんは何か特別なことに気づいていたんだろうね。」
貴仁は瑛介のノートを参考にしながら、石に電波を当てる装置を完成させる。完成した装置は、石を固定し、様々な角度から電波を当てられるように設計されていた。
装置の構成は次のようなものだ。
高周波発振器:装置の中心となる部分で、様々な周波数の電波を生成するために使用する。発振器は、周波数の範囲や出力レベルを調整できるように設計されており、数十MHzから数GHzの幅広い周波数範囲に対応しています。この高周波発振器によって、石に対して様々な周波数の電波を照射できるようになっている。
送信アンテナ:発振器から生成された電波を石に向けて送信する役割を果たす。装置には、異なる周波数帯域に対応するために、複数の送信アンテナが設置されている。それぞれのアンテナは、石に対して効率的に電波を伝播させるように設計されており、石の表面に対して最適な角度で電波を照射できるようになっている。
受信アンテナ:石から反射された電波を受信するために使用される。受信アンテナは、石が特定の周波数に反応しているかどうかを捉えるための重要な部分であり、その情報を電文解析装置へ伝送する。
電文解析装置:受信アンテナから送られてきた電波を解析し、その周波数成分や信号強度を測定するために使用されます。この装置によって、受け取った電波が特定のパターンを持っているかを解析する。
回転式台座:石を固定し、様々な角度から電波を当てることができるように設計されている。台座は、水平および垂直方向に360度回転することができ、石の全方向から電波を照射することが可能だ。これにより、石の表面に存在する回路図のような模様に対して、最適な照射角度を見つけることができる。
制御ユニット:装置全体を操作・管理するためのインターフェース。制御ユニットには、高周波発振器、送信アンテナ、受信アンテナ、電文解析装置の設定を調整できるように、様々な操作ボタンやディスプレイが設置されている。また、電文解析装置から得られたデータを解析・表示する機能も備えており、石が反応した周波数や信号強度をリアルタイムで確認することができる。
このように、石に様々な周波数の電波を当てる装置は、送信アンテナから電波を照射し、受信アンテナで反射された電波を捉え、電文解析装置でその情報を解析するという一連のプロセスを経て、石の内部情報や性質に関する手がかりを得ることを目的としている。
貴仁が部室で自ら組み上げた装置を見て、啓太と純礼は驚いた。貴仁は瑛介の研究設備を参考にし、さらに改良を加えて装置を作り上げたのだ。
貴仁は装置の説明を始める。「これで、石に様々な周波数の電波を当てることができるんだ。そして、受信アンテナで反射された電波を捉え、電文解析装置でその情報を解析する。そうすれば、石が反応する周波数や信号強度をリアルタイムで確認できるはずだ。」
純礼は興味津々で聞いていた。「それで、どのくらい時間がかかるんですか?」
貴仁は少し考え込んだ後で答える。「実際に解析が始まれば、最低でも数週間はかかるだろうね。ただ、それが最短でも、石がどの周波数に反応するかわからないから、もしかしたらもっと時間がかかるかもしれない。」
啓太はうなずいて、「それでも、この装置が完成すれば、あとは解析するだけだね。よくやったよ、貴仁!」と励ました。
貴仁は笑って、「ありがとう、啓太。でも、これがうまくいくかどうかはまだわからないからね。これからが本番だよ。」と返した。
3人は石の謎を解明するために、装置の解析作業に取りかかる。
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