<14>死にたくない

自分の体

目の前のパソコン

置いてあるテレビ

わきにあるリモコン

つないだコード

立てかけた掃除機

並べられた本


この一つ一つが

この世に存在していて

僕が生きているって証


ずっと続くと思っている瞬間

今キーボードをタイプした

この物語は

最後まで続けられると当然のように

思い込んでいる


今この瞬間屋根が崩れたら?


死。


いきなり正体不明の病気が襲ったら?


死。


巨大な地震で、津波に飲み込まれたら?


死。


ずっと、この死ぬ選択肢は

無限に、果てしなく続いている

消えることはない

不安はずっと消えない


見ないようにしているだけで

心のうちに

今死ぬかもしれないという不安は

ずっと残っている


それを乗り越えて今僕はここにいる

数々の選択を間違えずに

今ここにいる


これは奇跡


ここまで生きてこられたという奇跡


いい環境に生まれられた奇跡


いい両親に育ててもらった奇跡


だからこそ

僕はまだこの場で死にたくない

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