第48話 リーディングナラティブ

秀彦たちの提案書も参考にして

全エリアのチェックを指示し

職員達とホワイトハッカーの

手により少しずつであるが

広子への報告が上がってゆく。


今の開発チームでは実現不可能な

ポイントを洗い出してゆく中で

不可解なアップデートと

数体の未登録NPC、そして一つの

アカウントが最重要項目となる。

NPCはノーマルが5体と

1体のガイドを雇っている1人の

アカウントである。

「NPC達はテスト用仮コードが

 割り振られていますが、正規の

 手順を踏んだ形跡はありません。」

報告を聞きながら広子は考える。

それぞれのNPCの行動に規則性や

関連性はないと思う。

今に至っては通常ロジックで動く

ただのNPCであり夫の言うような

動きはまったししていない。

ガイドNPCはNPCコードは怪しいが

フィードバックデータは正規の手順で

報告ログとして上がってきていた。

NPC達は激しい違和感を感じ

させながら実際のトラブルとして

上がってはこないのだ。

「何がしたかったのか全く想像が

 つかないわね。いくら素晴らしい

 機能やシステムでもこちらは商用

 メタバースなの。制御不能な機能は

 実装できないわ。」

アップデートされた環境が周知される

前に元の環境に戻しておく。

後は隔離されたものを研究すれば

いつかは私達の強い手札になると

広子は報告書を読み進める。


私は何かしでかしたのでしょうか。

いつも通りアリルがまとめた資料を

営業用に仕上げていたそんな時、

課長に会議室に呼ばれた。

急ぐ仕事でも無いので、すぐに

向かった方が良いよね。

光彦はタブレットを持って

立ち上がった。

「忙しいところをすまないね。」

課長はいつも通り穏やかだ。

怒ったり困ったりしていなくて

何よりだけど、用はなんだろ??

「最近、営業成績も少し上がっているし

 頑張ってくれて嬉しいよ。」

「ありがとうございます。これからも

 精進いたします。」

褒められるのはやはり嬉しいものだ。

私もきっと褒めて伸びる子なのだろう。

でも用事ってこれだけじゃないよね。

隣に川島さんもいるし一体何事??


《私とした事が害虫を近づけて

 しまいましたね。》

誰にも聞こえないような声量で

タブレットが呟いた。


久延先輩は一体どうしたのだろう。

京子は思う。最近の彼は

自分が入社し教育係として

すごした日々とはあきらかに

違って見える。

そして今回の騒動の渦中にも

あるのだ。

絶対に秘密にしている何かがある。

彼女はそう思いつつ光彦を

観察していく。


どんな用向きなのか尋ねる光彦に

「あぁ、それなんだけどね。

 私と川島さんでDvisionの

 案件を持っているんだけど

 ちょっとしたトラブルが

 有ったんだよね。

 その時に久延さんが

 ミラージュガーデンにログイン

 していたみたいなんだ。それで

 何か変わったことが無かったか

 聞きたくて呼んだんだよ。」


まじか。。。どう答えよう(滝汗)

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