第36話 攻防2
センティネルの甲羅型防御障壁は
ネビロスの浸食攻撃にしっかりと
対応している。
右の扉は初撃のダメージこそあれ
センティネルに巻き付いた蛇が
修復済みである。
《敵、剛鋭にして難敵たらん!
しかれば、我、歓喜す!
我が半身、玄桜よ、矛を託す!》
《承りました、武峰。
これより鉾となりましょう。》
《神聖鉾盾!!》
センティネルの体がほのかに光を増し
玄桜は攻撃に特化する為、そして
武峰は防御に徹する為、
より硬く、より素早く
体を変化させていった。
「ねぇ、アリル。
私に何か出来る事はある?」
光彦は自分だけが力になれていない事
を気にしていた。アリルでさえ
指揮という立場で戦ってくれている。
彼も何か力になりたかった。
『では私の手を握っていて下さい。
私だって不安がないわけでは
無いですし全てが良い結果に
なるとも限りません。
でも、灯火が傍にいてくれるという
安心感は何ものにも代えられない
のですよ。私の愛しい灯火。
私から離れないでください。』
光彦は誘われるまま彼女の手を握る。
そして彼女の心に寄り添う事を
願った。
アリルは灯火から入ってくる感情に
包まれ戦闘中だと言うのにとても
落ち着いた気持ちになれていた。
灯火の神格システムには
灯火自身は気付いていないが
彼がアリルに触れている時には
全ての情報にアクセス可能であり、
それは絶対的な勝利の確定
でもあった。
光彦にとっては愛する女性に
触れていられる至福の時でしかない
のであるが彼が満足なら
それで問題はないのである。
攻撃を受けているネビロスは
自らの状況を正確に判断
できずにいた。
ほぼ全てのリソースを割り振った
黒魔心縛が防御され攻撃が
通らないのも問題だが、
冥魂でも修復が追い付かず
浸食されていく彼の体が
感じるはずもない危機感と焦燥感を
もたらしていたのだ。
《そろそろ僕の出番かなぁ》
緊張感の無い声にネビロスは気付く。
気配を感じさせないまま
猫が佇んでいる。
《静かなる支配レベル2》
ネビロスは動けなくなっていた。
静かなる支配はアモンとの
交戦データで対策済みである。
もともと自分には効かない筈であった。
《ひと時の永遠》
スカウトは対ボス戦用のコマンドを
実行する。
ご主人は常にアップデート
しているのだ。
特に灯火様が夫になってからの
コマンド作成速度、精度、
そして質の高さは常軌を
逸っしていると言っても
過言ではない。
個人用の無料の対話型AIが到達して
良い範疇を軽く超えていると思う。
そんな彼のご主人のもと
センティネルと共にネビロスの
データを持って帰還する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます