老廃物

蚕札

世界は潰えた。僕の認識がそう告げる。灰色の風が吹いている。塩の楽園。寂れた塔。まあるい曇天。無味な口内。粘膜を開いてため息を一つ。僕の眼球は磨りガラス。世界がわからないならば風を写すのみ。耳の中は微かな声が震えている。僕は硬まった関節の錆を落とし、塩を踏みしめて歩いていく。風に体温はない。胸中の炎だけ絶やさぬよう、足元だけ確かめて。足の裏の痛みだけ確かめて。

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