或る多数決の物語
多数決とは何か。
多い方が勝つという単純な決め方である。
例えどれだけ不合理で、非倫理的で、だれも幸せにならないものだとしても、多ければ勝ってしまう。
では、何故そんなものが多くの場所で採用されているか。
それは「しょうがない」と言えるからである。
つまり、誰も責任を取りたくないだけだった。
そんな風に決められた多数派が力を持ち、何かを推し進める。
そして、全体に益となるとうたう。
だが、多数派は調子に乗る。
何故なら、多数派は賛同者が多くて、それだけで自分達がノーマルで、基準であると思うから。
その自惚れが自分達にとって都合の良い「全体」を作り出す。
だから、多数決により決められた多数派は、調子に乗って、自分達の益になることを行った。
多数派に力が行き、少数派は力を失った。
力を失って、他人ではなく自分の事にだけ目を向けるようになった。
少数派だから、多数派に受け入れられないと。
或る者は激昂して、多数派に自分達を知らしめた。
だが、或る者は隠れる事を選んだ。
だから、そんなマイノリティは多数派から、見向きもされなくなった。
時は流れ、多数派は内部で争いを起こしたり、未曾有の大混乱により、力が分散した。
そんな時にマイノリティはちゃんと生き残っていた。
そして、徐々にマイノリティ達は人員を増やし、マジョリティと化した。
歴史は繰り返す。マジョリティも調子に乗った。
かつての多数派は力を失い、搾取されるようになった。
だからってどうという事もない。
だが、こういうものに主観を足すだけでストーリーたりえる。
それだけでエクスタシィが起こるなら、問題は描くものではなく、描き方なのだろう。
そう思う日々だ。
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