第143話 麻藤玲奈
「お兄様、戻られるのをお待ちしていました。記憶喪失と容姿が変わるのは予想外ですが……何から説明しましょうか?」
「えっと、僕は異世界の方へ帰りたくて、エリの話では記憶が戻れは多次元空間経由で帰れるって聞いたんだけど」
「はい、簡単にですがエリから聞いてます。記憶喪失を戻すのは簡単にですが、かなりの時間がかかります」
「え、どれ位?」
エレナ達の事が心配だから出来るだけ早く帰りたいんだけど……
「早くて3ヶ月……遅くて1年位でしょうか」
「そんなに!? 僕は早く帰らないと……」
「大丈夫ですよ。こちらで1年が経過しても向こうでは1秒も経っていない筈ですから」
「え? なんで?」
「それじゃあ、その辺から説明しますね。あの多次元空間はお兄様の特性により創られた魔導の深淵と呼ばれる絶対領域、本来ならば任意の時間帯、場所に移動可能なのです。ですから、お兄様が記憶を戻せば魔導の深淵に入った瞬間に戻れるのです」
「なるほど……で、記憶喪失を治すのに時間がかかるのはなんで? そもそも何をするの?」
とりあえず、エレナ達の事は僕の記憶喪失が治れば解決するみたいなので、少しほっとする。
戻れても1年後でした……では意味ないからな。
「脳の損傷がないかのチェックや精神薬投与など、いろいろやりますから、副作用が無い様にするには時間がかかってしまうのです。あと、元々のお兄様には薬が効きにくい体質がありましたから、その辺も調べないといけませんので……」
「そうなんだ。そうだ、僕は異世界では5歳で、見た目もちょっと違ったんだけど、こっちに来てから急成長した理由はわかる?」
異世界に戻っても20歳位の容姿のままだと非常に困るんだけど……。
「それは、ハッキリとは調べてからでないと言えませんが、おそらく世界の整合性を合わせる為の調整かと思います。本来のお兄様は40歳以上でしたが、ほぼ同じ魂なのに5歳の肉体では整合性が合わないと調整されたのかと……容姿も同様だと思います」
「なるほど、じゃあ僕が異世界に戻った時には5歳に戻っているって事?」
「おそらくは」
「それは良かった。あと、特性とかって何? スキルなら分かるけど、似たようなもの?」
そう言えば、こっちに来てからステータスは開けないし、スキルも発動しない。
それも容姿とかと同じ調整が入ったのだろうか?
「特性は、神が与えた権能を人が吸収し、使いやすい様にカスタマイズしたものです。お兄様にはいくつかの特性がありますが、ほとんどは魔導関係ですね」
「玲奈やエリは普通に魔導と言ってるけど、この世界では魔導は普通なの?」
「そうですね……この世界では常識ですね」
地球では魔導が常識?
前世の記憶では魔導なんて記憶は全く無いのに……この違和感は何だろう?
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