第12話 白い仮面に白いタキシード姿の紳士。

 入口を見ると白い仮面に白いタキシード姿の男性が立っていた。

 また、お客さんじゃなくて何かの用事があって来たのかな?


「あ、あの~。御用は?」

「ん? ここはメイド喫茶というやつじゃないのかな? 看板に書いてたのでね」

「し、失礼しました! メイド喫茶『オスティウム』へ、ようこそ!」


 やってしまった。

 よりによって初のお客様にうまくご挨拶できないなんて。


 い、いや、こんな事で、へこんでる場合じゃない。

 失敗を取り戻すためにも、うまくご案内しないと。


「こちらへどうぞ。メイドさんとお話しやすいのでカウンターのお席がおすすめなんですよ」

「ほう。カウンター席でお願いしようかな」


 白い仮面のため表情はわからないけど、微笑んでいるように思えた。


「まずはお店のシステムについてご案内させて頂きます。

 当店では1時間1980デジ 延長30分ごと950デジとなっていて、

 自動延長となっております」

「へー。時間で料金かかるんだね」

「はい、その代わりお時間内であれば全てフリードリンクとなっていますのでお好きなお飲み物をご注文ください」

「ほう。何でも飲み放題なんて良心的だね」

「それから最後に注意事項です。メイドさんに触れるのは禁止です」

「うん。そうだね。紳士たるもの女性にむやみに触ってはいけないからね」


 白い仮面の下の紳士に相応しい落ち着いて端正な顔立ちが想像出来た。


「ご理解ありがとうございます!

 それではお飲み物何になさいますか?」

「そうだね。紅茶を頂こうかな」


 アゼルは注文の声を聞くとすぐに紅茶を入れはじめた。

 茶葉のいい香りがあたりを包む。


「へー。ここは使っている茶葉もいいものだね」


 白い仮面の紳士は関心して言った。

 初のお客様は1時間すると明日また来ると言い残してお店を去った。

 はじめてのお客様が紳士な方で本当に良かった。


 はじめてのお客様、売上1980デジ。

 そうそう。

 今日、営業をしていて絶対にすぐに変えないといけないことがあったのを思い出した。


「アゼル。明日からでも変更しないといけないことがあったわ」

「うん。なんだい?」


 アゼルはにこやかに返事をくれた。

 ちょっと頼みづらい……。 

 

―――――――――――


メイド喫茶『オスティウム』


 料金 1時間1980デジ 延長30分ごと950デジ


 売上

  日別 1980デジ

  月別 1980デジ

  年別 1980デジ


 席数

  28席

  カウンター 6

  テーブル 24


 メニュー

  オムライス(メイドのお絵かきあり) 1500デジ


―――――――――――

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