第58話 迷宮で状況

アーレルは迷宮の入口付近を調べてから、冒険者ギルドマスターと相談をして、冒険者達と迷宮の入口の上に木材を組み先に滑車を取り付けている。崖に足場や命綱を作り迷宮の入口まで作っている


「アーレル殿、何故安全な足場にしないのか? 」

冒険者ギルドマスターが足場を見ながら聞く

「モンスターが落ちなかったら不味いだろ? 上位のモンスターが出現したら、倒せないぞ」

アーレルが足場を確認しながら言う

「それでも落ちたら大変な事に」

「最初の探索の為だからな! 運営するなら作れば良いだろ? スタンピードが収まってから作るだろうが…」

アーレルが冒険者ギルドマスターの方を振り向き言う

「それは…その通りだが…落ちたら死ぬぞ」

冒険者ギルドマスターが納得しないようにアーレルを見ている


アーレルは命綱を着けて、迷宮入口の横で待機して、モンスターの量が減るのを待ってから迷宮に入る。迷宮の中は洞窟の様な雰囲気のあり、近くに狼のモンスターが数匹集まっている。アーレルが狼のモンスターを剣で斬りつけて、狼のモンスターが遠吠えをすると、奥から多くの足音がしてくる


これ以上の長居はしない方が良いか?


アーレルが迷宮の入口まで下がりながら剣を構えていると、狼の大群が近付いてくる。アーレルは後退りしながら、背中から迷宮を出る

「御父様」

ケントがアーレルに向けて手を伸ばし、アーレルがケントの手を掴み、迷宮の横に移動すると、迷宮から狼達が次々と出てきて、そのまま落下していく

「狼か…この高さなら即死だな」

アーレルが落ちていく狼を見ている

「御父様の作戦勝ちですが…危険過ぎませんか?」

「そうだな…ラドルスに任せるか? 」

「ラドルスだと、落ちて死にます」

「ラドルスの埋葬何回すれば良いか…大物が釣れなくて残念だな」

アーレルが落ちていく狼を見ている

「全部落ちたら、もう一度入るのですか?」

ケントがアーレルの顔をみている

「入口のモンスター全部出したいからな…大物が近付いたら早く逃げないとな…冒険者をエサにするか?」

アーレルが考え込んでいる

「冒険者を? 無駄だと思いますが…」

「即死で終わりか…Cランク冒険者様達がなんとかするだろ?」

「逃げるのは得意そうですが…落ちて終わりそうです」

ケントが上で見ている冒険者を見ている


狼が出て来なくなると、アーレルが再び迷宮に入り、周囲を見渡している


今は居ないが…奥から足音が近付いて来ている? スタンピードならもっと多くのモンスターが集まっていても良いとは思うが…


奥から大きなモンスターが近付いてくると、徐々に姿が見えてくる

「マンティコアだと!!」

アーレルが姿を見て闘気をまとっていると、マンティコアが獲物を見付けた様な笑みを浮かべ、アーレルにゆっくり近付いてくる。アーレルは徐々に後ろに下がりながら迷宮の出口の付近までく来ると、アーレルはすぐに迷宮から外に出ると、ケントの腕を掴み迷宮の横に移動する

「御父様、どうかしましたか?」

ケントがアーレルの顔を見て不安そうに聞くと、迷宮からマンティコアの顔から出て来てアーレルを見て笑みを浮かべ、次の瞬間マンティコアの顔は焦りでキョロキョロして、足をバタバタしながら落下していき、マンティコアが地面に衝突すると地響きがして、黒い霧になって消え始めている

「危ないモンスターだな…戦ったら勝てないだろうに…」

アーレルが消えていくマンティコアを見て言う

「化物も出てくるなんて…この迷宮とんでもない迷宮ですか?」

ケントは顔を引き攣りながらマンティコアを見ている

「これが崖の上で無ければ、国が滅んでいたかもな…危ないな!」

アーレルが苦笑いしている


アーレルが崖の上に戻ると、冒険者達がアーレルを見て笑みを浮かべている

「疲れたから、後は任せたぞ」

アーレルが笑顔で冒険者達を見ている

「逃げればモンスター倒せるなら簡単だな!」

冒険者が笑顔でアーレルを見ている

「その通りだ! 足がすくみ出られなければ終わりだがな!」

「簡単だ!」

冒険者が笑いながら言う

「誰がやるか?」

アーレルが笑顔で冒険者達を見ていると、冒険者達が顔を見合わせている


「誰がやるか? 立候補は無いのか? お前がやるか?」

アーレルが全員を見ながら、笑みを浮かべていた冒険者を見て聞く

「へ? 何故? 俺は高いところが苦手だ」

冒険者が慌てて言うと、他の冒険者達も慌てて言い訳を言っている


「取り敢えず1度入ってこい」

アーレルが笑顔で冒険者に言うと、冒険者が後退りをしている

「簡単と言ったから、簡単に出来るだろ? マンティコアがもう一体出て来ても余裕なのだろ?」

アーレルが笑顔で言うと、他の冒険者達が男を見ている

「へ? あの化物…俺のランクでは無理だ!! エっエっエっSランクのモンスターだぞーーーーー」

「Dランクの冒険者で出来たのだから、お前達なら余裕だろ? さっさと入ってこい! 」

アーレルが笑顔で冒険者の腕を捕まえている。冒険者達が男を捕まえて、命綱を結んでいる

「うううう裏切り者ーーーー 離せーーー」

冒険者が叫び、暴れようとする

「頑張ってこい」

アーレルが笑顔で崖を降りる所まで案内すると、冒険者が泣きそうな顔で震えている

「早く降りろ」

アーレルが笑顔で冒険者を見ている

「いっいっいっいやだーーーー 助けてくれーーーーーこっこっこっ殺されるーーーー」

冒険者が叫び、座り込んでいる


「御父様、そろそろ下に行って休憩しましょう…冒険者に付き合っていたら、食事が遅くなります」

ケントが冒険者達を見てからアーレルを見ている

「そうだな! 頑張れよ」

アーレルが笑顔で言い歩いていく


冒険者達は座り込んでいる冒険者を呆れた顔で見ている

(怖いのは解るが…あのおっさん簡単に言うな…あれだけ威張っていたコイツもこんな度胸無しとは…)

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