第45話 鍛冶屋へ

ミーナがポーションの代金を受け取り、魔法の鞄にしまってから、道具屋を出て鍛冶屋に向かって歩いていく

「来たか…手入れは終わっているぞ」

鍛冶屋の主人がアーレルを見てニッコリしている

「冒険者ギルドの所為で今日迷宮に行けなかったからな…」

「片手剣と長剣は1本ずつ完成しているが、玉鋼が足りなくて他は作れてないぞ」

「そろそろ玉鋼を集めないとな…」

アーレルが考え込んでいると、主人が手入れの終わった武器と玉鋼の武器を取りに行っている


主人が武器をカウンターに置いていると、ラドルスとキリーアとリーシアが剣を受け取り、状態を確認している

(新品同様の輝き…丁寧な手入れだな…)

「バスターソードか? 片手剣は片刃剣なのか?」

アーレルが武器を見ている

「戦い方が片方の刃のみ使っているから、片刃の方が使い勝手良いだろう? 両刃にするよりも手入れも簡単だぞ」

鍛冶屋の主人が笑顔で説明している。キリーアとリーシアが真剣顔をして聞いている

「それもそうだな…バランスを考えて手入れしたら、両方同じように研がないと意味が無いからな…この重さなら、ケント使うか? リーシアでは片手剣使いこなせないからな」

アーレルがケントを見ている

「師匠、こんな高価な剣使うのが怖いです。ケントさんお願いします」

リーシアが慌てて言う

「御父様、頑張って使いこなします」

ケントが笑顔で言うと、片手剣の使い勝手が確認している。長剣の方はキリーアが持って使い勝手を確認している


「中々良い剣だな…前回の3倍ぐらい有れば、全部作れるか?」

「それだけ有れば、作れるぞ」

「ラドルス、予備の剣も買っておけ、今度は全力で殲滅するように」

アーレルが笑みを浮かべながら言うと、全員の視線がラドルスに集まっている

「え! まさか…一人では無理です」

ラドルスが慌てて言う

「ん? 1人で倒すつもりだったのか? 頑張れ」

アーレルが笑顔で言う

「は? 手伝って下さい!! あの数無理です!! キリーア」

ラドルスが慌てて叫び、キリーアに助けを求める様に見ている

「御父様、セリーナちゃんに恐怖を与える様な事になったら手伝って下さい」

キリーアが笑いながら言う

「セリーナに恐怖を与えるなら、殲滅するぞ!!」

アーレルが笑いながら言う

「御父様のセリーナ贔屓が始まったか…」

ラドルスが呟く

「何回目かはラドルス1人で倒しきってくれ」

アーレルが笑いながらラドルスを見ている

「ラドルスお兄ちゃん頑張って下さい! 早く怪我して練習台になって下さい」

セリーナが笑顔でラドルスを見ていると、フィーネとレニスが笑っている

「セリーナまで…怪我するのを喜ばないでくれ」

「ラドルス、油断していると御父様の拳骨になりますよ」

ミーナが微笑みながらラドルスを見ていると、ラドルスがミーナを見てからアーレルを見て苦笑いする


鍛冶屋の主人がラドルス達の会話を聞きながらニコニコしている

「仲良しなのだな! 良い事だ! 良いパーティーだな」

「パーティーじゃなくて、家族だ!! 」

「家族? こんなに多くの子供がいるのか!!」

鍛冶屋の主人が驚いてアーレルを見る

「18人…フィーネとレニスが増えたから、20人だ」

アーレルが笑顔で言う

「2人増えた…養子か…仲良しで良いな」

鍛冶屋の主人が納得したようにアーレルを見ている

「喧嘩も多かったぞ! ミーナがキレた時は大変だったがな」

アーレルが笑いながら言う

「御父様!! 暴れた方が良いのですか? この鍛冶屋を吹き飛ばしましょうか?」

ミーナがアーレルを睨みながら言う

「あ! ミーナお姉ちゃんの久々の吹き飛ばす宣言です! 」

セリーナが嬉しそうにミーナを見ている

「店は吹き飛ばさないでくれ!! 建て替える面倒だからな!!」

鍛冶屋の主人が豪快に笑っている


宿屋に戻り、夕食後リーシアは庭で剣を振っている

「リーシア、だいぶ良くなったな! なれたみたいだな」

アーレルがリーシアの素振りを見ている

「師匠、ありがとうございます。 キリーアさんに色々教えて貰えて嬉しいです」

リーシアが笑顔でアーレルを見ている

「実戦で学ぶ事も必要だが…もっと腰を使って剣を振った方が…足の動かし方も変えた方が、次の行動もしやすくなるぞ…腕で振らなくなったのは良いことだが、まだまだ先は長いぞ」

アーレルが笑顔で指摘していると、リーシアが素振りをしながら試行錯誤している


「今日はそのぐらいにした方が良いだろう、明日はアント殲滅だから頑張れよ」

アーレルが笑顔で言う

「え? アント殲滅はキリーアさん先生達がやるのでは無いですか?」

リーシアが疑問そうに呟く

「リーシアも訓練代わりに倒してくれ! 無茶さえしなければ、あの程度余裕だろう! 素手でも倒せるからな!!」

アーレルが笑っていると、リーシアは物凄く不安そうにアーレルを見ている

(いつか言われると思っていましたが…無茶振りされたのですか…キリーア先生に相談しないと…ミーナさんにも…セリーナちゃん助けてくれますよね…)

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