第41話 迷宮とアント 中編

休憩が終わり、もう一度アントを探して歩き回っている

「御父様、アントが現れません…」

ミーナが周囲を見て言う

「居ないなら…奥に向かうか?」

アーレルが奥の通路を見ている

「この奥は…どんなモンスターなのですか?」

ミーナが考えながら聞く

「この奥か? スパイダー系だったぞ」

「スパイダー!! 嫌なモンスターです」

ミーナが嫌々そうに言う

(スパイダーは大嫌いです!! 行きたくないですが…言ったら絶対に行くと言いそう)

「糸が邪魔だからな…毒持ちも多い」

アーレルが考えながら呟き、ラドルスとキリーアが先頭に奥の通路に向かって歩いていく


通路に入ろうとすると、地響きがして振り返ると巨大なアントが現れる

「は? ここで現れるか…ジャイアントマザーアント…」

アーレルが苦笑いしていると、レニスが怯えたように尻餅をついている


ジャイアントマザーアントの周辺からアントが現れて、アーレル達の方に近付いてくる

「通路に入り、入口で戦うぞ!! ケント防御に徹しろ」

アーレルが言うと、レニスを担ぎ走り出して、セリーナとフィーネも慌てて走り始める


通路に入り、ケントが通路の入口で盾を構えて待ち構え、キリーアとラドルスが近付くアントを斬り始める

「まずいな…逃げ道無しか…ミーナ、フィーネはキリーアとラドルスが疲れるまで待機で、リーシアは通路の奥を見張っていてくれ」

アーレルがアントを見てから全員を見て言う

「御父様、数が多いです」

セリーナが不安そうに呟く

「体力勝負になるな…セリーナは強化魔法をキリーア達に使う役だ!! 任せたぞ! レニスはセリーナから離れない様に」

アーレルがセリーナを見て言うとレニスを下ろしている


ラドルスとキリーアが次々とアントを斬り黒い霧に変えている。 金属の砕ける音が聞こえる。ラドルスが慌ててアントから距離を取ろうとするが、ラドルスがアントの突進を避けきれず地面に転がる

「ラドルス!! 下がれ」

アーレルが飛び出してアントを殴り飛ばしてから、近付くアントを剣で次々と斬り、ラドルスは慌ててケントの後ろまで戻り、アントの方を警戒している

(剣が折れるなんて…このままでは…)


一度引き離さないと無理か…


アーレルは戦いながら周囲を見ている

「ミーナ、フィーネ魔法で吹き飛ばせ!! キリーア1度休憩だ」

アーレルが叫ぶと、ミーナとフィーネが魔法を放ち始め、アーレルとキリーアがケントの後ろまで戻る


魔法の鞄から剣を数本出してキリーアとラドルスに渡してから地面に置いている

「剣が何本ダメになるか…沢山買っておいて良かったな」

アーレルが剣に見ながら呟き、アントの方を見ている

「御父様…怖いです」

セリーナが不安そうにアーレルの顔を見上げている。レニスが真っ青になりながら震えている

「セリーナを怖がらせるなんて!! 許さん!!」

アーレルがジャイアントマザーアントを睨み怒鳴る

「御父様…」

セリーナが不安そうにアーレルを見ている


「キリーア、ラドルス!! アントを殲滅するぞ!! 覚悟しろ!!」

アーレルが怒鳴ると、身体強化と俊足と腕力強化を使っている。セリーナも慌ててキリーアとラドルスに魔法を使うと、ケントにも魔法を使っている


アーレルが飛び出していくと、キリーアとラドルスが驚いたようにアーレルの後ろ姿を見ている

(御父様が突撃した? 速すぎる…まさか御父様が本気になるなんて…え? アントを踏み台にして走っていくなんて…)


アーレルがアントの頭を次々と踏んで走っていくと、ジャイアントマザーアントに近付き、アントはアーレル目掛けて集まってくる

「邪魔だ!! ファイヤーボール」

アーレルが魔法を放つと、アントが集まっている場所で爆発して、アントを吹き飛ばし黒い霧になっていき、アーレルが突進していくと、徐々にアントが包囲するようにアーレルの周囲に集まっている


近付けない…アントが多すぎる! 剣も数が限られているからには…くそーーー! セリーナを怯えさせた怒り思い知れ!!


アーレルがアントを次々と斬りながら、ジャイアントマザーアントに近付くと、大きなアントが数匹立ち塞がる


奇声をあげながらアーレル目掛けて突進してくると、アーレルは剣に闘気を纏わせて次々と振り抜き、黒い霧に変えて進み、ジャイアントマザーアントの足を斬り、ジャイアントマザーアントがバランスを崩して倒れてくる


ジャイアントマザーアントが倒れ、下敷きになるようにアントが潰されて黒い霧が立ち込めている

「セリーナを怖がらせた罪思い知れ!!」

アーレルが怒鳴り、高速でジャイアントマザーアントを斬り付けて、斬られた場所から黒い煙が出ていく。周囲のアント達は一斉にアーレル目掛けて飛び付いてくるが、アーレルはかわしながらジャイアントマザーアントを次々と斬っている


ジャイアントマザーアントが黒い霧になって消えると、アーレルは集まっているアントを容赦無く斬って、黒い霧に変えている


ミーナ達がアーレルの元に集まる

「御父様、凄すぎます」

ミーナが笑顔で言うと、ラドルスとキリーアもアーレルを見ている

「ジャイアントマザーアントはアントを呼び出せるが…戦えないから雑魚だ!!」

アーレルが笑顔で言う

「御父様凄かったです」

セリーナとレニスとフィーネが満面の笑顔でアーレルを見ている

「セリーナーーーー怪我は無いか? 疲れてないか?」

アーレルがセリーナを見て叫ぶ

「御父様のセリーナ贔屓か…」

ラドルスが苦笑いしている

「ラドルス、キリーア早く鉱石を拾い集めるように」

アーレルがラドルスを見て言うと、ミーナが爆笑している

「一言多い」

ケントが苦笑いしてラドルスを見ている

(言わなければ良かったのに…口が災いとしっかり覚えておけ)


鉱石を拾い集めて全員を集まる

「御父様、これが落ちていました」

ミーナがカバンを持ってくる

「魔法の鞄か? ミーナ大事に使うように」

アーレルが笑顔で言う

「御父様良いのですか?」

ミーナが少し驚いたようにアーレルを見ている

「後衛が持っていた方が安全だろ? キリーアそう思うだろ?」

アーレルがキリーアを見て聞く

「はい、ミーナが持っていてくれた方が安心できます」

キリーアが笑顔で言うと、ケントが頷いている。ラドルスはミーナを見ながら立っている


「ラドルス御兄ちゃん不満ですか?」

セリーナがラドルスを見ている

「ミーナが持っている方が安心できる」

ラドルスが慌ててセリーナを見ている

「疲れたのですか?」

セリーナがラドルスの顔を見ている

「疲れたよりもあの大群を御父様が1人で倒すなんて思ってなかったから」

「セリーナに恐怖を与えたから、倒しただけだ!!」

アーレルが笑顔で言うと、ミーナ達の顔が引き攣っている

(宣言した? セリーナちゃんに恐怖を与えたから殲滅したと…御父様が怒って殲滅したとビレット御兄さん達にも伝えた方が良いのですか? 御父様と一緒だと色々な事が起きます)

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