第13話 アントの大量発生 後編

応接室に案内され、アーレルとセリーナとフィーネが席に座る

「アーレル、アントはどのぐらいの数か?」

「100は越えていたと思うが…全滅させたぞ」

アーレルが笑顔で言う

「そうか…100を越えていたか…すぐに警戒をしないと…」

ギルドマスターが考え込んでいる

(100だと!! そんな大群出てきたら、この村は壊滅だぞ!! すぐに手を打たなくては!!)

「奴らの教育が必要だよな」

「あー 教育は必要だ! アントの件が片付いたら、損害を考えて処分した方が良いな…」

「そう言う事で帰って休むぞ」

アーレルが笑顔で言う

「は? 待て! アントの大群が出てくる前に調査隊を送り込むから、それまで待機を」

ギルドマスターが慌てて止める

「は? 話を聞いてないのか? 襲ってきたアントなら全滅させたぞ」

「は? 全滅させた? 全滅? はーーーーーーーーーーーー!」

ギルドマスターが大声をあげて立ち上がる

「剣は折れるし、子供達が危険に晒されるし、最悪の1日だったぞ」

アーレルが不機嫌そうに言う

「は? …ちょっと、少し考えさせてくれ」

ギルドマスターが頭を抱えながら考えている

(アントを全滅? 本当か? 馬鹿が下手にアントに手を出すから悪いが…本当に全滅させたのか? 冒険者に兎に角、調査をさせて…時間が稼げれば文句無いが…剣が折れたなら、武器も必要か? …軽く言う事か………)


「アーレル、帰っても良いが…アントがもし入口付近まで来たら、呼びに行くが良いか?」

「冒険者だから仕方無いだろ…今日は疲れたからゆっくり休みたいが…」

アーレルがフィーネとセリーナを見ている

「子供達で思い出したが、ウルソンの町でラドルスだったか? 討伐クエストに失敗して、仲間が重症と連絡が有ったぞ」

「ラドルス達が!! まさか無理したのか? あれほど未熟者だから慎重にと言ってあったのに!! 無事なのか!!」

アーレルが驚きながら叫ぶとセリーナが不安そうにしている

「あくまで手紙に書いてあっただけだが…」

「様子を見に行く必要が…なんも無ければ、なんて言われるか…心配だが、助けを求められた訳では無いから…セリーナ達を危険に晒す訳には…あーーーどうしたら?」

アーレルが思い悩み始めている

「御父様…ミーナ御姉ちゃん心配です」

セリーナが心配そうに呟く

「心配だが…どうしたら?」

「御父様、兄弟仲良く、協力しろですよね? 心配だから会いたいです」

セリーナが涙目でアーレルを見ている

「セリーナが会いたいから、会いに行こう! そうだ!! セリーナが会いたいから会いに行けば良いだよな!! 帰ったら準備をするぞ」

アーレルが笑顔で言うと、部屋を出ていく

「ちょっと待ってくれーー アントの件が終わるまで村に居てくれーーー」

ギルドマスターが部屋を出ていこうとするアーレルを見て慌てて叫び、セリーナとフィーネがギルドマスターを見ている

「まだ何か用か?」

「アントの件が終わるまで村は出ないでくれ! 頼む!!」

ギルドマスターが慌てて頭を下げる

「子供達が心配だから早く行く!」

「御父様、明日の朝までは待ちましょう」

セリーナがアーレルを見ている

「セリーナが言うなら…心配だから早く行きたいが…」

アーレルがセリーナを見ていると、ギルドマスターがセリーナを見ている

「セリーナちゃん、フィーネちゃんお菓子用意してあげるから、明日もギルドで休憩しないか? 書き写し中の魔導書も確認して欲しい」

ギルドマスターが慌てて、フィーネとセリーナの機嫌取り始めている

「お菓子? 魔導書? 御父様、良いですか?」

セリーナとフィーネが笑顔でアーレルを見ている

「セリーナが食べたいなら少しなら時間を取るが…心配だから…」

「御父様、大好きーー」

セリーナが笑顔で言うと、アーレルが嬉しそうな笑みを浮かべている


アーレル達が宿屋に向かって帰っていく

「ギルドマスターどうでしたか? 冒険者3組迷宮に向かわせましたが…」

職員がギルドマスターの様子を見ている

「アーレル達が村を出ない様にする為に、明日はセリーナちゃんとフィーネちゃんの機嫌を取るように」

ギルドマスターが職員を見て言う

「は? 機嫌を取るように? 何故?」

職員が驚いている

「アーレル殿を1日でも長く止める為だ!! 最重要のクエストだ!! 菓子を沢山作って書庫でゆっくりして貰うぞ」

ギルドマスターが職員を見ている

「ギルドマスターが命令したら、村を出て行けないのでは?」

「子供が心配だから、ウルソンの町に行くと言っているから…家族の心配では止めれない…」

「何故? もしかして…ギルドマスターが情報を?」

職員が睨んでいる

(ギルドマスターこんな時に情報を与えたら絶対にダメです! 責任を取って下さい!!)

「え! 言った後に…大変な事を口にしたと…自覚している」

ギルドマスターが苦笑いしていると、職員が呆れた様に溜め息をしている

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