私が世界で2番目に可愛い
百日紅
第一章 推しとの邂逅
第1話
私はオタクである。
もしかしたら、ヲタクかもしれない。
しかしまぁどちらにせよ、私には『愛』を表現すべき相手が一人いる。
その名は、―――
私がこの世で誰よりも愛し。
世界で1番可愛い
今も私が横向きに持つスマホの画面では、金糸を靡かせて、生でライブを見に行っているファンたちにウインクを飛ばしている。
彼女の他にもメンバーは居るけれど、圧倒的に会場は
ここで一つ、オタクのうんちくを披露させて頂きますれば。
言寄 コトハのこの水色の担当色。実を言うと、ファンたちからはなぜ水色なのかと疑問の声が多数挙がっていたりもする。
なぜか。
これはとある非公式の『ファンが握手会で集めた数多の疑問の、その答え』という極秘本に書かれていることだけど、どうやらコトハが水色を担当色として選んだのは、彼女の憧れの人物の瞳が水色だったから、らしい。
外国人だろうか?
兎にも角にも、その人物が羨ましくて妬ましい。
てか、憧れの人物の瞳の色をサイリウムカラーにするとか、マジで一途すぎてそんなところも可愛いすぎません??私の推し。
私も、この両の目が水色だったらなぁ。
一途な彼女は可愛い。だけど、どうかそんな彼女の気持ちの行く末が、私であれば、と思ってしまう。
そういう、普通のオタクとは少し気持ちが捻れているから、私はヲタクなのかもしれない。
いや、マジで。
世の中には沢山のヤバい奴らがいる。
もちろん、ヤバいオタクもいる。そういう厄介オタクをヲタクと呼ぶのだと、私は勝手に解釈している。間違ってたらマジでスマン。って作者からの伝言である。
んで、その厄介ヲタクは、大体がメンヘラだ。これは自論だけれど、信憑性は高いだろう。
テンプレで言えば、推しが誰かと熱愛報道が流れたり。例えば、推しがファンの一部と仲良さげにしたり。
そんなことを厄介ヲタクが知ったものなら、もうあれだ。
『夜道に気をつけろ』ってやつだ。
会場でストーカー染みた厄介ヲタクが、刃物を持ち込んでグサッ!までがテンプレだ。
まぁ、大体ラブコメ少女漫画の噛ませになるんだけど。
んでね?まぁ、散々と厄介だのゴミクソだの言ってしまったけれど(ゴミクソは言ってない)、でも気持ちは分かるわけよ。
私も、もしもコトハが誰かとラブラブだったら、もしかしたら背中からサクッといってしまうかもしれない。
そして私も死ぬのだ。
え、これってハッピーエンドなのでは??
いや、どちらかと言えばメリバ(メリーバッドエンド)か。
私は幸せでも、第三者がどう思うかなんて分からんし。
「なぁ、さっきから独り言が漏れ出てるぞ?キモイから部屋でオタ活してくんね??姉貴といるとオタク脳が移っちまう」
「うっさい。とりま死んどけクソゴリラ」
私のライブ鑑賞という至福の時間を汚す獣が一匹。チッ、毎度毎度、どうしてこんな良いところで話しかけてくんのよ。愚弟めが。
やたらと体格だけがデカくて、頭ん中は空っぽの脳筋。最近は不良染みている。
「あんた最近カノジョが出来たらしいじゃん?調子のっても別に良いんだけどさぁ、姉への敬い忘れんなよ性格ブス」
弟は高校一年生で、私と同じ高校に入学した。
そしてどうやら最近、同じクラスの女の子と恋人関係になれたらしい。
「あ?姉貴って鏡見たことある?性格がドブスなうえに、見てくれまで……………っ!いや、その、、、わりぃ」
「………………何よ。別にいいわよ。言うんなら最後まで言いなさいよ。気を遣われると余計に惨めになるでしょうが」
「二人とも〜、姉弟なんだから仲良くしなさい。ミカちゃんも、たっくんがちゃんと謝ってるんだから素直に受け取りなさいな」
「分かってるよママ。…………
「分かってるよ。ったく、母さん、晩飯できたら呼んでくれ。それまで部屋にいるわ」
弟、
全く、性根は優しいんだよなぁ。
「ママ、私も部屋に行ってるから。できたら呼んで」
「分かったわ。今日はあんたたちの好きなビーフシチューだから」
「ほんと!?やった!楽しみにしてる!!」
私も階段を上がっていく。
自室に入り、ベッドに寝転がって改めてスマホの画面を見れば、生配信のライブはいつの間にやらラスト一曲を歌う手前だった。
元気に曲名を叫ぶコトハをまじまじと画面越しに見つめる。
私は、彼女の名前を知っている。
芸名ではなく、本名を。
芸名:言寄 コトハ
本名:
今、画面の中で煌びやかに舞い踊る彼女は、何を隠そう、私と同じ学校の私と同じクラス。
同学年であり、窓辺の、未だ私以外は気づいていない地味子様である。
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とりあえず第1話。
『わたしNTRれたうえに調教されちゃいました!?』
が完結したら、
この作品と『両片想いの配信者』の二つを並行して完結目指す予定です。
わたしの作品はじめましての読者様。
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