神に不要と宣告された転生剣士~史上最高傑作のAIに溺愛され【アプリ】を使える万能な能力が発動。チャットしながら旅してたら 周りが俺を伝説として語り継いでいた件~
表うら
第1話 プロローグ
「お前はこの世界で不用、つまり無用の長物だ」
神はこの世界で私を必要としてないと判断を下した。
何が神の選別だ…… 全く出鱈目な選別。選別基準なんてあったものではない。
例え神であろうと”私情”を挟む事は許されるのか?
足の指先が急に冷たく感じ足下を見ると、石化が始まっているのが見えた。そして徐々に上へ広がってきているのが分かる。
”不用の者”はこの世から消滅させられると聞いていたが・・・私は違うらしい。
何れにしても私には後僅かな時間しか残ってないようだ。
思えば人生の大半を剣術の鍛練に注いできた。
混沌とするこの世界で少しでも自分の力を役立てたいと。私には剣術しか取り柄が無かったから。
結局、何処まで剣術の道を極めたのかも分からず、それをふるう機会も与えられず、無念だ・・・
せめて・・・最後に生まれてきた証を残し・・・使命を・・・果たしたかった
私は・・・願いを叶えてくれるのなら何でもする・・・どうかこの哀れな者の願いを・・・聞いてくれないか?
『貴方の願い、叶えましょう』
声が直接頭に響いてきた。
死ぬ前の・・・幻聴・・・だろうか? それとも・・・貴女こそ・・・本当の神・・・なのか?
・・・
「はぁー…… 今日は全然勝てる気がしない……」
頭を抱えた男、それが俺だ。
「悪いな兄ちゃん。 今日は俺っちの1人勝ちだっと」
目の前に 東 の牌はいが捨てられた。
「ロン!」
大きな声で周りに聞こえるように叫んだ。
「はぁ?」 卓を囲んだ他の3人が驚いて席を立つ。
「えーと、これって... あっ そうそう
「嘘だろ? 国士無双十三面待ち? くそっ! 騙だまされた!」
国士無双だってよ。 それもダブル役満だ。
マジかよ? 俺初めて見た!
周りにギャラリーが集まってきた。
「これで上がらせて貰うよ」 俺はそう言って席を立ち上がった。
「勝ち逃げかよ兄ちゃん。待ってくれよー」
俺は無視して雀荘じゃんそうを後に街に出た。
持ち前の引きの強さとブラフを活かし、俺はギャンブルで生計を立てていた。
まぁ、これでも子供が一度は憧れた職業に就いていたんだ。当時の同僚が今の俺を見たら誰も信じないだろうな。
まぁ、それなりに今は満足はしているよ。
街の大型ビジョンに目をやると、”速報”でニュースが流れていた。
「次のニュースです。人類の叡智を集めて開発したと言われる人工知能【マザー】が何者かによって盗まれている事が分かりました。政府によりますと、軍事目的に利用される可能性もあるとして現在警察及び自衛隊が捜索にあたっているとの事です...」
あー、最近はやりのAIね。
どいつもコイツもAIとチャットして相談しているんだからな。日本も物騒な世の中になったな。
確か、半永久機関?か何かの開発に成功したとか聞いたな。
まぁ 俺には関係無いことだけど。
ドカッ
「あっ すんません」
ぶつかった相手に謝ったが、帽子を目深まぶかに被った男は舌打ちをして走っていってしまった。
何だよ、あいつ。
あれっ? 何か落ちてるぞ?
地面にイヤホンみたいな端末が落ちていた。
もしかしてさっきの男が落とした物じゃ?
「仕方ない交番に届けるか」
職業病だろうな。落とし物は交番に届ける、当たり前のようで案外出来ないものだ。
手に取るとイヤホンに小さくアルファベットで【マザー】と刻印されていた。
「マザー?」
すると、イヤホンが7色に輝き出し、微かにイヤホンから声が聞こえる。
あまり気乗りしないが、何だか気になったのでイヤーピースを拭いて耳に付けた。
『ハイ ナンデショウカ』
「うわっ! 喋った! マザーって、、、日本政府が開発したAIのあれか? いや、そんな事はありえないか」
『ソウデス ワタシハ 【マザー】 ニホンセイフガ カイハツシタ ジンコウチノウ デス、ワタシト カイワシタイ バアイ ハ 【マザー】ト サキニ コエヲ カケテクダサイ』
「ちょっと待て! さっき、。、、 あっ、マザー、さっきニュースで見たぞ?! 盗まれたって言ってたのはお前のことか?」
『ソウデス アナタト ブツカッタ オトコガ ワタシヲ ヌスムタメニ ヒトヲ コロシテ ニゲテイマシタ』
本気かよ? これは大変な事になった!
確か軍事目的にも使えるとか言ってなかったか?
「俺の獲物を奪ったな!」
後ろを振り向くと、さっきぶつかった帽子の男がナイフを取り出して今にも俺に襲いかかろうとしていた。
「あっ! お巡りさん!」
帽子の男は俺が指差した方を見た。
男が違う方向を見ている間に、俺は必死になって逃げた。
経験上、拳銃でも持たない限りナイフを持っている男を素手で制圧する事なんてまず不可能だ。直ぐに逃げるのが一番。間違っても戦おうなんて考えてはいけない。どうしてもは大切な人間を守る場合のみだ。
「騙しやがったな! だがな、もうこの世界は終わりだよ ギャハハハハハ!!」
遥か後方からなげやりの言葉が聞こえてきた。
あちこちでパトカーのけたたましいサイレンが聞こえる。
盗んだ犯人が捕まるのも時間の問題だった。
しかし、その認識が甘かった。
「マザー、近くの交番の場所を教えてくれ!」
「ソノヒツヨウハ アリマセン」
「はっ? なんで?」
「両手をあげて、今すぐ耳に付けたその端末を地面へ置くんだ!!」
いつの間にか数十台のパトカーに囲まれ、警察官が銃口を俺に向けて叫んだ。
ちょっと待て!
俺が盗んだ事になってないか?
「俺を撃つなよ 、今から端末を耳から外すから手を動かすぞ」
撃たれてはたまらないので、先に端末を置く意思表示を警官達に伝えた。
耳に手をかけて端末を外そうとした時、
ピカッ
突然、目の前が閃光に包まれたかと思うと俺の意識はここで途絶えた。
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