第8話

「えっと」

桜は、考えすぎて

「みなさんの、ご年齢は?」

全員15歳だ、と答えた。

「そ、それじゃあ。もうすぐわたしも15歳なので、その、誕生日に決めるの、だめでしょうか?」

全員、了解で済むところに


〈いや、タイムリミット!〉

「あ、天の声。っていうかデスゲームみたいでヤだね。コレ」と薊、兄。

「いちばん最初に俺の事、夢に連れてきたやつ」

「俺は馬の世話楽しいけどね、でも、食べるだけで消化とか排泄なしでリアルじゃない」

「そうなのか。てっきり蹄鉄の世話とかあるのかと思ってた」

いやいやいやいや。と少年4人。

そして逃げ場の無い少女。愛染桜。


〈1人に決めてください!お願いです!恋愛の神の定期試験なんです!15歳の誕生日までに神のお気に入りの子達に恋人を成す!〉


「はずかしいですっ」

桜が爆発した。それでも4人は変わらず桜に気になる子へ向ける視線を向ける。もっと縮こまる桜。

「ドッキリとかはやめてください!訴えます!神社とか出雲とか神奈月とかに!」


〈やめて!!それをやられたら私が神失格だし呪われちゃったり祟られちゃったりしそう!お願い、選んで、誕生日までまだ日はあるけどこれ以上拒絶されるとみんなに試練が科される!〉


「それは、どんなです?」


〈私の場合は地球上のカップルみんなを結びつけなさいくらい大変で、みんなの場合は恋愛そのものがよくわからずに人生を過ごす〉


「え、人生ってそういうものじゃないですか?」


〈桜ちゃん?!〉


「恋の神様、みなさんみんな素敵だけど無理に決めるのは良く無いですよ。ちょっとでもいいな、って思える人と一緒にいられたらいいですけど。理想はちょっとでもここが好きだな、って将来思える人と一緒になる事です。ここで決めなきゃ、みんなの代償が恋愛そのものがよくわからずに一生を過ごすって重すぎます。世の中も、もしかしたらうちの両親もそうかもしれないけれど」


ちょっと定期試験、そこから再検討してください。


「誰か1人を選ぶなら、わたしはわたしを選ぶか、全員選びますからね」


〈じぶんひとりを愛するか、4人全員愛するか〉


「や、あの、重い。わたしまだ14歳。これから15歳で大人になりますが。まだ成人してもいないんですよ」


〈ごめんね、久しぶりの定期試験だから、ちょっと出題と採点に問題があるね。うん。私が恋だの愛だの聞けばいいか、ところで気になる人、本当に4人の中にいない?あとで聞きに行くからじゃあ、みんな解散!よい安眠を!〉



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