第5談
立ち上がった大蛇の大きさは、
二股に分かれた尻尾のひとつには
「
ああ、あの美しい声だ。
たまに風に乗って聞こえる美しい声に聞き惚れる。それだけが退屈な日常の慰めだった。
獣は純粋だ。純粋であるが故に邪念に染まりやすく、容易く堕ちる。また、住処が廃寺であったのも悪かった。日々の修行に勤しんでいた勤勉な坊主は、ひょんなことから権力争いに巻き込まれ、無念のまま死んでいった。その坊主の神通力も
ただの蛇から二股の大蛇の妖怪になれた
誤算だったのは
街全体を眠らせ、
「渡さない!この美しい人は俺のものだ!」
本来の姿に変わった
勢いよく飛ばされた
「分かったわ!あんたのものになるから!だから、
「――っ!ざけんな!
グッと足を踏みこんで、
こんな妖気の放出がいつまでも続くわけがない。呼吸と同じでいつか途切れる時が来る!
「
「
振り向いた
「っざけんな!」
棍を両手で支え、
「させるか!」
舌から溢れる血を飲み込んで、
妖力をたぎらせ、口から酸を出す。吐き出した酸は、
「
なんとか止まって、痛む身体を起き上がらせると、
髪は頬の位置で終わりを見せている。
「乙女の命とも言える髪を!」
「
力を込めて更に走る。転がったせいで
体の痛みなんか気にしない。それよりも
「
「
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