第11話 そうはさせねぇよ!
【視点:シェリア・オリエント】
「ありがとうございます。タオルをあげてくれて。貰って正解でしたよ」
「んなの、気にすんじゃない。クオーレも大丈夫か?」
「うん!僕は平気だよ!」
とクオーレはスキップをしながら歩いている俺を追い越す。俺らが食料探しという寄り道をして、色んな事情で濡れてしまった。ながら役所に帰る頃にはもう日は暮れて、気づいた頃にはもう、辺りは暗く感じた。時って、本当に気まぐれなんだなと思ったさ。体にも追いつかれないように感じたからさ。それにアーシアは疲れを合図で背を曲げていた。だが、対してのクオーレはルンルン気分でやけに足がスキップ気味で歩いてた。顔からもわかるようにやけに満足気だ。そりゃそうだ。何せ、クオーレがここのサバイバルでは無理難題であった魚取りに成功したからだ。しかも、こんなでっかい魚を
今から数十分前の事だ。もうすぐ着くところを川を渡ろうとした直前だった。
「魚、とってくるから、ちょっと待って」
とクオーレが突然のことを言われ、驚いた。え?魚取り?川の下流部分に走っていったのだ。ふと、俺は川を見た。きっと、この川みてそんな子供らしいことを考えたのだろう。なんで、子供らしいことを考えるんだ?あのバカは。体は子供だけど。俺は腕を組んで子供ながらに走るクオーレを見つめた。すると、アーシアが近づいてきて
「クオーレさん……行きましたけど、どうします?ついて行って…クオーレさんのことを負いますか?まず、ここって本当に魚がいるのでしょうか?僕、聞いたことがありませんけど」
「うーん………」
俺は腕を組んで考えた。この川は大分幅は少し広いが、深さが足りない。何せ、靴の底がちょいと入る程度はせいぜい取れるのが三センチから五センチ程度の小魚だけ。でも下流はここよりも幅は広いし深さも俺の首ぐらいに深い。ついでに流れはここよりも早い、魚が取れるかどうかもというより命の危険になることもある。
「そうだよね……。なぁ、クオーレが魚を取れるかどうか見てみようぜ……。そして、笑って言ってやるさ。『魚さんはお前の手でも全然取れませんよ〜』って。もし、そこで溺れても当然、無視してやるけど」
「……結局はクオーレさんに取れないと言いたいのですね」
「はいそうです。それが何か?」
「………はぁ……」
とアーシアはまたため息をつく。こっちがため息をつきてぇっての。クオーレは命の危険だと知っても魚を取りに行くなんて思えば、それはそれですごいと思うよ。むしろ俺からすれば国民栄誉賞だよ。まぁ、栄誉賞どころじゃないかもな。クオーレが下流に向かって数分。一向に姿が見えない。
「クオーレさん。大丈夫でしょうか?もう、十分は経っていますよ?」
「溺れたんじゃない?なんかそんな気がする」
「……あなたは人の心という優しい心がないんですか?」
「いや、俺らは元々他人みたいなもんだ。いや、顔見知りとでも言えよう。だから俺は他人でもあるように無視するのは当然……でも、実際はそうなのかもしれないな……」
「え?」
と少し驚くアーシアは俺はまるで当然かのように語った。
「だってそうだろ。これはあんな行動をしたクオーレの責任だって。まぁ、これは例えばの話で分かるとすると、溺死した子供が報道した時、第一者である親は悲しむし嘆き後悔をする。『もっと、しっかり注意すれば良かった。』、『目を離さなければ良かった』と嘆くばかりだ。けど、その親の気持ちは知らない第三者は『親のくせに何で子供を見てないの?』『普通に子供を見てなかった親のせいだろ』『これは親の責任』って、他人事のように非難する。まるで溺死した子供の親の気持ちも分からないで言っているようなもん」
「そうですか?僕からすれば『親が可哀想』『ひどい』『大切に育ててきた子が突然亡くなったら嘆くのも当然』と思います。確かにシェリアさんが言っていることは正しいですが僕にとって不快にしかなりませんよ」
「………例え、その親が裏があっても?」
「ええ…もちろん」
まぁ、アーシアが言ってること正しいに聞こえる。でも、責任は責任だ。それを責める人もいれば同情する人、そして、無視する人までもがいる。でも、それいいのだろうか……。って、なに考えてんだ俺。こんなのはちょっと俺らしくないな……。俺は頭をむしゃくしゃした後にため息をついたあとにアーシアにこう言った。
「とにかく、俺はもう知らん。クオーレがどうなろうがなんだろうがぁ…俺は全く持ってもう知らん。たか、あいつの珍行動はどうなってんだか」
「……バカな人。本当はシェリアさんも心配しているんでしょ?それに、少しは奇跡ぐらい信じたらいいのに……」
「ん?おい、アーシア。今なんて……」
最後が小さな声で言われたのでとりあえず、『今なんて言った?』と言おうとした。するとその時、
「取ったぞぉぉぉー!」
と向こうからクオーレの喜びの大声が聞こえた。突然のクオーレの大声で俺とアーシアは驚き、まるでタイミングが合うように揃って顔を合わせたまず、クオーレは死んでなかったのはともかく、まさか、川で魚を取れたのかが何よりもすごい事だ。でも、これが違うやつだったら……?俺はアーシアに指でクオーレをいる所を指しまくってた。これは……本当か?って。そして、アーシアはそれを賭けるかのようにこくんとゆっくり頷いた。どうやらアーシアも魚はとれるのか分からなかったらしい。まぁ、そりゃそうだ。何せ、突然に川で魚を取りに行くと言われたからな。困惑するのも仕方がない。助けに行くのある様子らしいが。俺とアーシアは顔を合わせながら頷かせ、クオーレのいる川の下流部分に向かった。
「うわぁ……」
「これはある意味酷いな……」
下流部分に行くとすぐに目につくのは散らばった少年の服とピクっピクっと少し動いてるまさに瀕死状態の魚が首あたりから血を流していた。さらに右を見ると。小さい魚が踏み潰された痕があったり、細長い魚二匹……いや、二尾は首で串らしき木の棒で刺され既に死んでいる。あの細長い魚って、まさか、うなぎか?
他の辺りを見てみると尾の部分に釘を刺してる中くらいの魚がいれば、目の部分らしきところを刺された痕がある魚もいた。もしや、ここは魚の地獄絵図なのか?と思えるような光景であった。ついでにアーシアは青ざめて口を抑えてた。多分、吐くのを抑えてるのだろう。こんなグロい(?)光景を見ればな。俺はアーシアには同情した。通常の人ならこんなでも吐くか「うわぁ……こりゃひでぇ……」のことを言って引かれるのだろう。ちなみに俺はため息だけでするのだからな。すると
「あれ?シェリアとアーシア、来てたんだ」
とビチビチと暴れまくる魚を手にしクオーレが俺らのところに近づいてきた。何気に楽しんだ顔をするクオーレを見てアーシアは多少引いたような様子をしながら、「あ、えっと……」となにか言いたげなことを無視して俺は服の近くにいた、すでに瀕死状態と化している少し大きめな魚に近づいた。どこかで見覚えがある魚は緑褐色の体に黒い縦帯が、入っている魚であった。俺が指で鱗をなぞるとピクピクっと動いた。これ……本当に見覚えがあるんだよなぁ……と俺はあぐらになり腕を組んで考えた。いや、頭の中での記憶を探っているんだった。間違えやすいな、これ。確か、そう、幼稚園の頃のやつだ。その時……さかな図鑑で……川にいる魚……緑黒い魚……あ。
「なぁ、クオーレ」
「ん?なに?」
「この魚ってさ……ブラックバス?」
「お、正解、正解!よく分かったね。このブラックバスね、最初に取ったんだ」
「へぇー」
「その最初はとっても大変でさ。これー、全部脱がないとやばいなぁーと思って、全部脱いで……それから即座に取れたんだよ」
「そっか…どうりでお前はすっぽんぽんなわけか…」
「うん!すっぽんぽん!すっぽんぽん!」
とクオーレが笑う。そう、クオーレは今、布一つ身にまとってない所謂、全裸の状態である。それに気づいたアーシアが俺がクオーレの裸を見ているのに気づいては「見ないで、見ないでぇ!」と言いながら俺の目を手で覆い隠した。だが、時は遅しである。すると「あ、そうだ!」とクオーレは頭中で電球が光ったかのように閃きだして、ポンと手を軽く叩いた。
「アーシアもシェリアも裸になる?気持ちいいよ!」
「は?」
「ええ!?」
と俺とアーシアは驚いた。そして、思う。さては、こいつには羞恥心という言葉を知らないのかと。俺はゆっくりと顔をアーシアに向けた。さて、この裸族の子をどうしようかと思って言おうとしたが、アーシアはどうやらそれどころではなかった。アーシアは顔を真っ赤にして茹でたこみたいな顔どころか手まで赤くなった。そして、
「するわけないでしょ!あなたには羞恥心という言葉が分からないんですか!?しかも女の子の前で脱ぐなんて有り得ませんから!」
うん。よく言った。まぁ、俺は気にしないとしても、羞恥心がとてもあるアーシアにとってはやってはいけないとも言い難いのだろう。その言葉ですっとぼけたクオーレはぽかんとした顔から何故か真剣な顔でこう言った。
「いや、人は元からはこうゆう生まれたままの姿でしょ。それに昔の人は水に浸かる時にきっと俺のような姿だし。だから、クオーレもシェリアも一度脱いでみて。とっても気持ちいいよ〜」
とクオーレがアーシアに近づいて上着をガバッと強制に脱ごうとした。だが、対するアーシアはまた、顔を赤らめて脱ごうとする上着を。「は、離してください!」と抑えた。うーん。ここだけ見ればラブコメディ漫画のキャッキャウフフと見ているようだ。ここはサバイバルに扮したラブコメディ漫画ですか?クオーレがやんちゃな主人公でアーシアがヒロイン。んで俺は二人の中を引き出す役。いわゆる脇役よのうな準主人公のようなポジションだ。あー、そう考えると余計にラブコメになるわぁ。とその時
ガサ……ガサ……
反射的に後ろを向いてしまった。これは……どうやら風ではなさそうだ。きっと、クオーレの大声を聞いてはクオーレを狙いにこっちに向かって来たのだろう。まぁ、これだけの大声が聞こえるのは来るのは当たり前か。方角は西に一人、下流の向こう側にも一人、いや、二人。向こう側のやつはライフルを持っているな。東には一人……やっべ、思いっきり近づいて来てる。……てことは、俺らを狙っているの人数は……
「シェリアさん?」
おっと、しまった。アーシアに心配されてしまった。俺はどうやら横目で見ていたみたいだ。アーシアはまた……と思って呆れる部分もあったが覚悟は決めているようにこくんと頷いてくれた。どうやらアーシアもこの音が風ではないことに気づいたようだ。
「シェリアも一緒に脱ご!絶対に気持ちいいよ」
だが、対するクオーレはこの状況を分かってないかのように言った。呑気だなお前。こんな狙われている状況下でもそんな脳天気な事を言いやがって。俺はため息をついた。そして
「俺はパス。ちょっと向こうで用事を思い出してさ……。だから、お前らだけでやってろ」
と手をブラブラしながら言ってやったさ。腰に納めたハンドガンを用意しながら。それを見ていたのかクオーレは
「そっか〜。まぁ、シェリアが言うのなら仕方がないな〜」
と拗ねるように言いつつもその顔は何故か面白そうなのを逃したみたいな顔であった。いや、これも意味って同じ……なのか?まぁ、言葉に関しては気にしてはないがな。俺はすぐに立ち上がり腰を仰いだ。だが、なぜだろう。腰が痛くないのだ。あれ?俺って………十三だよな?なんで俺がこんな年寄りみたいなことをしなければならないんだ?まぁ、いっか。もうそろそろ一人近づいて来てるし。急がば回れだ。早く済まさないと。俺は東に方向に
「そんじゃ、お前らは魚取り楽しんどけよ。俺は俺なりに楽しんどくから」
と歩きながら手を振った。鞘に収めてた刀を用意する。これで俺が何人か殺そう狙われようがすでに関係ないがな。ま、容赦はなしでいくか。すると、向こうからヒソヒソと話が聞こえる。
「ねぇねぇアーシア、なんだかシェリアって、うーんと、なんて言うんだろう……ものすごく元気じゃなさそうだよね」
「いいえ、あんな死んだ目でも元気な子なんですよ。多分、あれは失恋したような目でしょうね。僕の方ではああゆう目をした子をそう言ってましたよ」
「まぁ、可哀想。今度戻ってきたら、優しくしよう……」
「そうですよ」
………。クオーレとアーシアがヒソヒソと話されているのではないか。………可哀想だと?はいそうです、一応、《悪役令嬢》のレッテルが貼られてますもんね。だがな…。俺は可哀想とは思わねー。それにクオーレとアーシアには世話になっているしな。そのおかげで今までのストレスや鬱憤が発散できた。それにもう、あの事は吹っ切れたっつーの。漫画での令嬢様もそんな感じだから。鞘を抜かれた刀を置いてハンドガンを両手で重く受け止めた。すぅー……はぁー………ふぅ……。俺は少し深呼吸した。俺はまだ冷静ではないと思ったからだ。
「さて、まずは東からか。俺は嫌われてない」
【視点:クオーレ・キャーヴェ】
もう一度入る川は少し温かい。でも、すっごく冷たい。まるですごく寒かったプールみたいにだ。この川が
__けど、入るからには仕方がないのだ〜
向こうではバンバンバン、ドカーンと銃をたくさん打ちまくる音が聞こえる。きっと、シェリアだ。シェリアが昨日みたいに暴れてる。きっとその顔は鬼みたいな怖い顔かな?それとも、俺やアーシアに見せた可愛い猫みたいな笑顔かな?それともまた、その鬼と猫の間の笑顔?ううん、そんなわけが無い。シェリアはシェリアだ。鬼みたいな顔も猫みたいな顔もシェリアの顔だった。……あー!もう!考えるのはやめだ。俺はほっぺたを叩いて、シェリアの事を考えるをやめた。そんなことよりも魚!魚を取りにいくぞ!
それに僕は後ろを振り向き今まで取った魚を取ったんだ。ブラックバスにヤマメ、アカヒレタビラにアブラハヤ。ちなみにアブラハヤはもう潰しちゃって死にました。悲しいわ、ここに、バケツがあったらな………。アブラハヤが可哀想とは思ってたが、そんなのは俺は気にしてない!何せ今回のレア中のレア ウナギを取ったのだから。すごく暴れてたけど、棒で頭を刺したら大人しくなった。
「あっひゃ、冷た!」
「?」
俺が右に振り向くと俺と同じに裸になってるアーシアがいた。アーシアは驚きの川の冷たさと感じている。でも、冷たくはないのに……。まぁ、冷たいけど。
「やっぱり川は冷たいですね……」
「ふふん。そうでしょ〜。今ならやめてもいいよ〜」
「や、やめるわけにはいきません!僕はクオーレさんが心配だから、ぜ……全部、服を脱ぎましたから」
と恥ずかしそうに言うアーシア。結構、綺麗だな〜。いや、腹部分に傷があるからそれで冷たがっているのか。傷は結構痛みに感じやすいから。
__通りで、シェリアは俺よりもアーシアにはなぜか気を使うんだ。これは納得だ。
ここに来る前にアーシアが木の根っこを引っかかった時にシェリアはアーシアを倒れないように支えていた。その時のぼ俺って嫉妬……?みたいなことをしていたんだ。
「さて、アーシア!行っくぞぉぉ!」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
アーシアの待ってを聞かずに俺は思いっきりに川に飛び込んだ。まずは一気に飛び込む。絶対に、最初は飛び込むのは誰もがやってみたいことでしょ。良い子はマネしないように。瞑ってた目を少し開くと光がさしだす綺麗な水の中が映る。絵の中にいるみたい。だから、ブラックバスやウナギや皆の見たのがすごく汚くなく、昔、よく読んでた図鑑に描いていたのと同じだったんだ。川ってずっと永遠に汚いままだと思った。すごく綺麗のもあったんだ。
__これ、今すぐに絵に描いたら、絶対優勝間違いなし!
そして後ろにいたアーシアを見てみるとアーシアはずっと目を瞑ってた。まぁ、そうだよね。誰もが俺にみたいになれる訳じゃないよね。確か何かの被れば目を防げるんだっけ?わかんないけど。すると、左方面に魚の形をした影が見えた。しかも、大きいし、早い?どんなに追いつこうとしては全然追いつきはしない。
と思って、俺は息を整えるために川に顔を出した。そして、ブルブルと顔を左右に振った。
「はぁ……はぁ……ふぅ……はぁーふぅ……」
俺も予想が当たるとするとこの大きさはたぶん、ブルックトラウトにイトウまたはサクラマスにあたる。でも、あんまり近くで見てないんだよな〜。影もあんまり大きくはなかったし……。それに流れる方向に向かってたから、もういないはずだ。出遅れた。
「ぷばぁ……はぁ…はぁ」
とアーシアが俺の後を追うように川に顔を出した。濡れた手を何度も顔を拭き、息切らしながら俺に向かって
「ど、なぁ、どうでしたか!?あわっぷ」
「いたんだけど、逃げられた。そっち」
「い、いま、あぶ、いませんで、うっ、した」
と今にでも顔が水に入ってるか入ってないかの状態で言ってきた。アーシア……お、落ち着こう。アーシア、きっと無理してるよ。俺なんで止めなかったんだよ…。それに、ここはどうやら初心者殺しであったみたい。でもアーシアもアーシアの気持ちに任せて来たんだから。今更、止めてもだめだよね。
__さてと……どうしたものか……
俺は腕を組んで考えた。川に少しづつ流されながらも考えた。しばらく考えた末に決めたのは……
__やっぱ、突撃だな。
これは即答するべきだった。なんですぐに思いつかないのだろう。考えるってやっぱり難しいな。やだな〜考えるのって。するとまた、銃の音が聞こえた。聞こえた方に顔を向けると今度は川の向こうから聞こえた。パパパパではないな。今の音はバァンだった。……シェリア……死んでないよね。いや、シェリアが死ぬわけない。何せ……俺が、僕が気に入った人だから。それにシェリアも頑張っているんだ。僕もここでやられてはいけないんだ!
「アーシア、もう大丈夫だから、先に上がっていいよ」
「え!?はぁ……でも……わぁぷ!」
「その状態じゃ、ずっと泳げてないでしょ。それぐらい、分かるよ。とりあえず、いいから無理しないで。」
「あ、はい。では……お言葉に甘えて」
とアーシアは川の流れにそらずに犬みたいに泳ぎ、ちゃんと元の場所……にはならかったけど、その近くに上がった。
「さてと、行きますか!」
はぁぁぁぁ……と空気を食らうように、リスみたいに頬を膨らませ、一気に、もう一度川の中に入った。川の中に入っていた。そして、入ってすぐにあの魚の形をした影が見つけた。
__まさか、迷ってる?これはラッキー!よーし!
これは本当に運がいい。いや、奇跡と言ってもいいと思うほどだ。僕はすぐに手に持っている小型のナイフを用意して、すぐに魚がいる方に向かった。ところが流れが早いせいで全然と近づけやしない。僕は思いっきり段々と近づいていくとその魚の正体が分かった。魚の正体はなんと アオウオだった。アオウオだと気づいた時には僕は目を大きくした。そのせいでまた川の外に顔を出してしまった。
「はぁ……はぁ……」
まさか、あの川の大きい魚一二を争うぐらいめっちゃデカいアオウオに出会うなんて……。こんな奇跡、もったいない!とは思ったものの、あのアオウオはこのナイフに通用できるのかが問題だ。ていうか、アオウオって、どうやって食べられるんだ?多分、シェリアかアーシアに聞けばなんとかなるな……。とにかく、折角あのアオウオに出会えたんだ。一か八かやるしかない!僕はもう一度リスみたいに頬を膨らませ、川の中に入った。入ったらすぐにアオウオが僕の目の前を通り過ぎようとしてた。
__そうはさせねぇよ!
俺はすぐにアオウオのヒレを掴んだ。それに気づくのだろうアオウオはバタバタと暴れだした。これは暴れるのは当然だろう。けど、せめて暴れて欲しくなかった……。ごめんねぇアオウオさん。僕らが生きるためなんだ……。僕はすぐにナイフをアオウオの尾の部分に刺しこんだ。すると、アオウオはさらに暴れだした。そして、僕から離れたがっているように僕をヒレから離した。まぁ、これは想定内だけど。僕はゆっくりと動いた足をさらに早く動かした。そして、近くに来た時、僕は刺しこんでた尾を掴み、暴れないようにヒレの部分を斬った。そして、尾からヒレ、ヒレから首を即座に掴み、見事にアオウオの目を刺した。さらに次に首はを刺しそして、頭を刺した。刺されたアオウオは目から首からそして頭から血が出ているせいか、少し動きが遅く感じた。
__今だ!
僕は一気に頭にナイフを刺しこんだままのアオウオの胴体を抱き抱えてアーシアがいる方向に泳いだ。アオウオが重たいせいか全然僕が泳いでないみたい。だが、諦めないのは僕である。しかし、
__あ………あれ?
急に視界が暗くないっていた。僕はやばいと感じた。それは息継ぎがしてないことだ。本来、人は十秒ぐらい水の中で耐えられるが、その際に息継ぎをしなければいけない。これはすごく重要な事だと何度も僕の両親が言ってた。でも、今は十秒以上も息継ぎをしてない。あー、もう、なんで気が付かなかっだ!?というか気づいただけで……息が……続け……られ……ない……よ……。
「ばっはぁ……」
僕が気を失う時は一瞬、泡とともに懐かしい服を着た人がこっちに向かうところが見えてた。
ピュゥゥゥゥ………
「ば、ばほぉっ、べぇっほ、げっふぉっ…ほっふぉっ、うぅ……?」
僕は目を開けた時には僕は溺れかけてたのだと知った。やだ、耳に入った。僕はむくりと起き上がると、
「はぁ……ふぅ、はぁ………ふぅ……」
と何故か四つん這いになって濡れている息切れのシェリアがいた。そして、シェリアの近くには投げられたのだろうに、見たことの無い銃やバックが数個あったのだった。まさか、シェリアが助けてくれた?すると
「あ、大丈夫でした?」
とアオウオを持ち上げているアーシアがいた。しかも、アオウオに刺しこんでたナイフを手に持ちながら。
「う、うん大丈夫。なんでシェリアが濡れているの?」
「実は……」
アーシアの話によると「戦利品だー!」と嬉しく他人から奪った銃とバックを持ちながらここへ戻ってきたシェリアがいち早く僕が溺れていることに気づいたらしい。そして、銃やバックを投げて、アーシアと協力して、僕とアオウオもここに持ってきたらしい。
「その後、シェリアは心配するかのように川に戻ってきてすぐにクオーレさんを仰向けにさせて、両手でグーとパーを合わせたようなやつでクオーレさんの心臓に何度も押し付けたんです。そして、クオーレさんの口から水が出てきて。クオーレさんが息してると思って、シェリアは安堵したのか隣で四つん這いになりましたよ。……そして、ごめんなさい、溺れてることに気づけなくて」
「いや……俺も油断してたし、アーシアが謝ることじゃないってぇ〜」
「よく呑気なことを言うわ……」
とシェリアが小声で呟いた。僕が後ろを向くと、シェリアが「あー!くっそー!」と言って濡れてる前髪を手でかきあげた。そして、布のようなのでゴシゴシと拭いた。まるで何もかもがむしゃくしゃしているようだ。なんだかシェリアの気持ちって分かりやすいんだよな……。僕は体ごとシェリアの方に向けた。シェリアは気づき、
「なんだ?俺はもう助けないぞ〜」
と大人ぶるような顔で言った。でも、それにしては目は向いても顔は向けやしない。僕は少しため息をついて、一度、シェリアに近づいた。それに対してのシェリアは今度は顔と体が僕の方に向いたが、引いた感じに少しだけだが僕から退いてた。
「なんで?助けないって言ってたのに、すぐに助けてくれるくせに。ついでにこれからもお互い様に助け合いましょうよ」
「いや。まず言えば、俺らは元から敵同士だ。他人同士と言ってもいいが、まずまずに、助けられる状態じゃないんだぞ」
「でも、口からは『助けない』って、言ってたのに根は助けてくれるのね」
「んな……」
そう、僕はあの会話を聞いていたのだ。僕は元からは地獄耳と呼べるくらい耳がいい。さっき、ウナギを取った時にあのシェリアの助けないと言ったこと、いわゆる《助けない発言》を聞いていたのだ。僕はどんどんとシェリアの顔に近づいた。ついでに僕を子供呼ばわりしたのはちょっと腹立った。僕は子供じゃねぇ。
「まさか、その大声はわざとってことですか?」
「大当たり〜。ちょっとシェリアの俺を子供だって行った時はすこし腹が立ったよ。これでも俺は大人ですよ〜。立派な男性ですし」
と僕は自慢するかのように立ち上がって腰に手をあてた。どうだ。これで立派な男性でしょ〜と僕はニヤニヤとしていた。だが、シェリアはそんなにも悔しがっていなかった。むしろ、呆れたような顔であった。シェリアはため息をつき
「そこ、どいてくれる?」
とあ……忘れてたの顔をした僕を退いては立ち上がり、「あ゛〜」と首を鳴らし猫のような目でこっちを見てきた。きっと、負け惜しみだ〜。とは思っていたが、少し見た後に後ろを向いてバックのところで歩き、バックを持ち上げ中身を探り出して、何かを投げつけた。投げつけたのはタオルだった。あ、あれ?と思っていると
「あんたが立派な男性だったら、まずはお礼を言いな。そして、体が濡れてるからこれで拭いて。あ、あと、服も着替えてね。それと……」
とシェリアがバックから何かを取り出した。なんとオレンジジュースが入っていたのだ。しかも紙パックの。
「これ、あげるからちゃんとするんだよ〜」
「うん、分かった。助けてくれてありがとう!」
それから、僕はタオルで身体を拭いて、服を着替えた。そして、
「ほれ、オレンジジュースだぞ」
「ありがとう」
とご褒美のオレンジジュースをもらい、嬉しくいただきました。その後までは
「あれ、もう着替え終わりましたか……」
とタオルを畳んでいた着替え終わりのアーシアが来たのだ。アオウオを放置しながら。
「うん。おかげさまでね……」
とシェリアは疲れたかのようにバックをおろし、腰に手を当てた。まるで、僕が見た親みたいだ。すると、怪しむように眉を細めたアーシアがこう言ったのだった。
「なんだかんだでこう見えるとまるで
「だろ?」
ぴた……っ。その時、僕は頭の何かが引っかかった。
「ていうか、アーシアはそう見えるか?まぁ、俺も人のこと言えねぇが」
「こんな言う事聞く時のためにご褒美のオレンジジュースを飲む人って大体、
「分かるわ。俺もワン●ースの幼少期のル●ィがオレンジジュース……みたいなやつ飲んだ時はああ、あいつは
え、僕、子供?これがご褒美だって時点で?
……なぜだろう。なんか分かるけど………だんだんと腹が立ってくるのは…。
「さすがにクオーレさんが
「え、知らないのめちゃくちゃ有名な漫画だぞ」
「そうなんですか……ってうわぁ!」
「んなぁ!?」
僕は思いっきりアーシアとシェリアを軽く持ち上げ、僕ごと川に飛び込んだ。この際にいて、一つ言いたい。
すごく悔しいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいい!!!!
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