第十八話

「こ、これは! 従魔の進化じゃ!!!」


歩いていたおじいさんが急に声を大にして叫んだ。

この状況で歩いているおじいさんの精神力は恐ろしいかも知れない?


「従魔の進化だとっ!?」


その言葉に王子も反応している」

相当凄い事なのだろうか…? 最初にテイムしたスライムが進化した時はこんな感じじゃなかったけれど…。

母さんにあげちゃったよ。 正直、僕より母さんに懐いてたし。


アレ? ところで母さんは?


そのまま放っておいても野垂れ死ぬ様な人じゃないのは一番知ってるから大丈夫ではあるけども。


「今度こそ、帰ろうか?」


「はい!」


「じゃ、俺は先に帰ってるぜ?」


「どうぞ…」


「ハイヨー!!!」


すっごいドヤ顔で馬を走らせていくギルマス(いまだに信じられない)

けれど、あの頼りがいのある背中は凄くかっこよかったと思うし、凄く憧れた。

あれが僕の目指す冒険者なんだな。


『いや、違うと思うわよ。 絶対に』


え? どういうこと!?

もう訳が分からないよ…。


「え、もう姿が見えないんだけれど…」


「あいつの馬は【戦馬】 という魔物だ…。 従魔じゃないけどちゃんと手懐けている化け物ではある」


「へ、へぇ。 【猫馬】 とどのくらい違います?」


「戦闘力と走力の違いだけど、個体差によって違うから【戦馬】 で速い者も居れば、【猫馬】 で強い者も居る。 が、稀に突然変異の様な個体も居て両方の性質を持った者も居たりするな。 それがあの馬鹿の所有する【戦馬】 “バルバトス” だな」


かっこいい! 名前付けてるんだ!

僕も名前付けようかな。

バルバトスはさすがにセンスが良すぎる…。


『主様、流石に名は欲しい所存』


『私も昔の名前以外がそろそろ欲しいわね』


『ホシイホシイ』


『名があれば強くなれるぞ』


「そうなんだ…じゃあ街に戻ったら皆に名前を付けよっか!」


『『『『おおおお!!!!』』』』


「じゃ、【天馬】 いこっか!」


「任せよ」


帰り道の道中に湧いている魔物をばったばったと倒しつつ僕はどんどん街へと近付いて行っていた。


そうすると一つ大きな影を見つけてしまった。

ただ王子も頭を悩ませるくらいの。


「げひゃひゃひゃ! 魔物達のおかげで俺達のねぐらがこんなにも強化出来たぜ! これはもう城と言っても過言じゃねぇだろ! 最高じゃねぇか! ドワーフ達を奴隷にした甲斐があるぜ」


えぇ、なにこれ。

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