第9話 叙爵
私の名前はグラン・フォン・グランテ。妻セレスティア女伯爵の夫である。元騎士爵の次男だ。
父の一代限りの爵位の為、平民と同じようなものだ。そんな私が妻セレスティアの夫になれたのは、王立学園で主席だったからだと思う。
妻のセレスティアとは上位争いを毎回繰り広げていたからね。学生の頃は
淡い恋も燃えるような愛も無い私達だけど、温かな愛を育む事ができ三人の子供がいる。
特に長女のレスティーナは、とても賢く美しい。将来の次期女伯爵に決まっているが、爵位を継ぐ事が無かったら皇子の婚約者になっていてもおかしくなかった。
レスティーナに
レスティーナは様々な物を開発し、雇用を生み、利益を上げてきた。
街は清潔になり、病院と学校が出来て平民の子も学習の場を与えられている我が領は王都より繁栄しているのではないだろうか?
学校は読み書き計算の幼等部と専門の高等部の二つがある。専門の高等部では医学・経営学・鍛冶・大工・音楽・美術の6つが有り、医者になるなら医学、官僚になるなら経営学、職人になるなら他の専門学科に入る事が出来るのだ。
特待生は2種類有り、完全学費免除の特化特待生と奨学金特待生の二つがある。前者はグランテ領に就職必須となる。後者は卒業後、分割でお金を返して貰う事になるが、好きな所に就職する事が出来る。
レスティーナの功績は妻の功績となり、彼女の
とても光栄な事だとは思うが、
口さがない者達から何を言われるか……そんな時、妻が
セレスティアに助言をしたのは、娘のレスティーナだった。
弟や妹の事も考えての
私はイェツィラー帝国皇帝モーリスアドルフ・ティフェレト・イェツィラーである。
ハイヒューマンである私には長らく子が居なかった。そんな私にこの数年で3人の子宝に恵まれる事になり後継者問題についてホッと息を吐いた。
本日はセレスティア・フォン・グランテ女伯に
「
私の言葉にセレスティア・フォン・グランテ女伯と、その夫であるグラン・フォン・グランテが顔を上げる。
「「イェツィラー帝国の太陽、そして青き月にご挨拶申し上げます。」」
相変わらずこの夫婦の挨拶は手本のように美しい。特に女伯のカーテシーは皇妃より洗練されていると思う。
「――…グランテ領を手本にした我が国は豊になり、新たに取り組んだ公共事業は新たな雇用を生み、利益を出した。貧富の差はあれど、昔のようにスラムは少なくなっている。褒美として侯爵への
確かダミアンとは同じ年だったはず…
「恐れながら陛下、我が娘は
勅命を出したらこの女伯は家族と領民を引き連れて逃げるだろうな。
「それは残念だ。」
「ですので、
「新たな爵位ですって?」
妻のダリアが不愉快そうな声音で呟いた。女伯に兄弟が居なかったからダリアが繰り上がりで私の妻になった事を根に持っているのには困ったものだ。
「はい、得た爵位は我が息子に継がせ、娘レスティーナの補佐につけようかと思っております。」
「陛下、こんな図々しいお願いをする輩に
キーキーと相変わらず
「黙れ。」
私の一喝にダリアが黙ったので女伯と話しを続ける事にした。
「新たな爵位となると子爵位が妥当だろうか…」
「魔の森を開拓する資金を全て
「……爵位を二つか――…」
スー公爵はもう終わりだから侯爵から公爵へ
「その子供達は使えるのか?」
「まだ子供で御座います。30歳までに使えなかった場合は、今回頂いた爵位は返上させましょう。」
自分の子供でも無能であればバッサリと切り捨てる考えは清々しいな。ダリアには無い考えだ。
あいつの甘やかしで第一皇子は頭の空っぽな子供だ。それに比べて女伯の自慢の娘レスティーナは、10も満たないのに政務に関わっているという。
雲泥の差だな……
「良かろう。判断は次期女伯のレスティーナとそなたで結論を出せば良い。」
女伯であれば情も無く無能だったら切り捨てるだろうし、その娘も同じ気質だと聞く。
問題が起これば爵位返上させれば良いからな。
「「有難き幸せ。イェツィラー帝国に永劫の輝きがあらんことを!!」」
こうして謁見は終わったのだった。
さてレスティーナ嬢よ、そなたは魔の森をどうやって開拓してくれるのだろうな?とても楽しみだ。
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