第7話 メリーさん探検隊 Bパート

ー一人暮らしの高齢男性の場合ー

 ここで、我々はメリーさんの経歴を知る謎の人物に出会った。

「おお、メリーさん! 今日はお友達も多いのだな」

<字幕>我はメリーの声を聞くものなり。メリーはこの世に君臨し、この世を楽園に導かん。

 彼の名前は加藤さん。


Q.メリーさんの経歴についてご存知だとか。

「メリーさんについて? ああそう言えば……」



 ――メリーさんはアメリカ生まれだそうだ。

 1927年1月、米国のギューリック博士の呼びかけで「世界児童親善会」から1万2000体余の少女人形が贈られた。その中の一体が、メリーさんだった。彼女は日米をつなぐ親善大使として、パスポート、ビザ、着替えなどを携え、この国にやってきた。

 彼女はとある小学校の女の子たちにお世話されながら、日本での日々を過ごしていたらしい。だが、その時間も長くはなかった。

 1941年に開戦した太平洋戦争により、青い目をした人形は「敵国の人形」として見なされ、彼女は愛すべきこどもたちに竹槍に刺され、火にくべられたのだ……。

 彼女が抱くのは憎しみか、それとも捨てきれない愛執ゆえか。それ以来、メリーさんは日本をさまよっているという――。



「……ナレーション、創作で随分重たい設定で来たな?」

「いやこれ実話よ」

「は!?」


「それでな、メリーさん。これ以上子どもを心配させるわけにはいかないから、ちゃんと病院に行って検査受けた。そこで『問題ない』って言って貰えたのに、今度は『父さん……アンタ憑かれてるんだよ』とか言い出してな。現役時代と違って、今は疲労なんてほとんどしとらんのに」

 シクシクと泣く男性の手元には、猪口が添えられている。

「うんうん。悲しかったわね。愚痴は全部この鍋島に流しなさい」

「うおー! メリーさんー!」

「いや、メリーさん!? 実話!? 実話なのコレ!? 昭和一桁生まれとは聞いてたけどさ!?」





 我々はまた一つメリーさんの実像に迫ることが出来た。しかしメリーさんはまだまだ謎に包まれている。

 我々の探検は、これからも続くのだ!!



ーー

リクエストは、無月兄さまの「メリーさんが海外の危険な場所や過酷な大自然にも挑めるように体を鍛える話」でした。

あれ? 鍛えてないね? 何がどうなってメリーさん探検隊in群馬県に???

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