MTマナ~触手とあたしガチ百合魔法少女達~

黒箱ハイフン

第一話 誕生! MTマナ!

001 とある少女の後悔

 少女――マナミ、は後悔していた。


 調子に乗るんじゃなかった。すぐ帰っていれば、こんな目にあわなかったのに、と。


 いまや身体全体にまとわりついた、不快な感触。巨大化なミミズを何本も束ねたものとでもいうべきか。ぬめりを帯びたそれらを端的に表すとしたら、この言葉が適切であろう。


 ――触手。そう、触手。彼女は今、おぞましき異形に囚われているのだ。


 服の中にまで触手は入り込み、彼女の柔肌に粘液を塗り付けている。服は半分以上が融け、無意味な代物となっていた。かろうじて下着が無事なお陰で全裸にはなっていないが。


「ぁ、あ、あ……」


 生理的な不快感。これから自分が受けることへの恐怖。そして気持ち悪いはずなのに、どこか心地よく感じてきたことへの不安。どれもが、彼女の気力を削り磨耗させていった。


 身体中から力が抜けていく。なんとか保ち続けてきた意識も朦朧としてきたそんなとき、


 ――ごぽり。


 と、まるで彼女が弱ったのを見越したように、触手から何かが吐き出された。大量のそれを小さな口が受け止められるはずもなく、端から次々と漏れ出していく。


 それを最後に、魔法少女マナミと名乗った少女は、意識と魔力、そして記憶を失った。


///


「なに変なナレーション入れてるのよ! 人が神経すり減らせてるときに!」


『えー、でも、このほうが雰囲気出て楽しくないです?』


「そんなわけないでしょ! あぁもう、なんでこんなことに……!」


 全然悪びれてない声に頭が痛くなる。まったく、どうしてこうなった……?



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