1年 夏休み in日本

 

「やっぱり落とされたかぁ~」


 何が?って管理学だよ。あと会計学下と経済学下もダメだった。この教科達は2年から4年までの間に取り直せばいいのだが、取るのにも規定があって、まず自分たちの学科内これは1年生の分野だから1年の時間割と私の2年以降の時間割が重なって無ければ、自身の学科内で取る。もし重なっていれば他の学科から同じ教科名、単位数の物ならそちらからとれる。ただし1つの学期内で取れる最高単位は25単位なので、もしその学期の必須科目、落としたもの以外でまずは自身の今学期の総単位を計算し空きがあれば、そこに落としたものを組み入れていくというシステムだ。また、卒業まで私の学科だと140単位必要なんだけど、単位の先取りとかは出来ないし、基本的重たい教科が全部にあるので、自身の勉強の兼ね合いも見つつ落とした科目を取らなくてはならない。私みたいな海外から留学している子は、まずその学年の必須等を落とさないようにそちらに重点を置きつつ少し余裕があるなら落としたものを拾っていくのが無難だ。


「落とした教科は上学期含めて4教科で、時間割が8月末か9月に出てくるからそれを見てから落としたやつも取りなおして……微積分下受かって良かった~」


 受かっていなかったら結構やばかった。どれだけやっても意味がよく分からない教科筆頭だったから本当に上下とも落としていたら泣くしかなかったよ。



 7月上旬、夜の11時30分


 私は駅の改札で人を待っていた。


 夢玲Mèng língとクラス内でまぁまぁムードメーカー的な位置にいる男の子志偉Zhì wěiだ。今日から4泊5日日本へ二人が遊びに来るのだが、あと30分で日付が変わる……元々夕方には大阪に着く予定だったのが、飛行機が大幅遅延し、空港に到着したのが8時過ぎ、それからもろもろの手続きを経て電車に乗るまでに時間がかかるのでこの時間となった。もちろん二人が宿泊するホテルには連絡済み、後は私が連れてホテルに行くだけだ。時間も時間なので、父が一緒に来てくれている。


「天野~」


 名前を呼ばれそちらを向くと改札向こうで彼らが手を振っている。手を振り返しながら改札に近づき私が言った一言目が


現在Xiànzài是深夜shìshēnyè所以suǒyǐ聲音shēngyīnyào小聲xiǎoshēng歡迎Huānyíng到日本dào rìběn!【もう深夜だから声は抑えてね。日本へようこそ】」

為什麼wèishéme這麼zhème安靜ānjìng?【なんでこんなに静かなの?】」


 もっともな疑問だろう。臺灣この時間賑やかなところはまだ人が多いのだ。日本は台湾みたいに夜市が毎日あるわけではないし、大抵のお店は8時か9時ぐらいには閉めてるよ。遅くまで空いているのは居酒屋とかだよって説明すると、周りを見渡しながら納得していた。


 歩いていると日付が変わる。静かな道にガラガラとトランクの音が響く、かなり響く。周りがここまで静かだと小さな物音でも騒音になるから注意しないといけないよね。外国から見ると日本ってこういうところが厳しいとか硬いって思われる要因の1つみたい。

 無事にチェックインを済ませ、明日の時間を約束してその日は解散した。



 翌朝、ホテルまで二人を迎えに行き、京阪電車に乗るため駅の方へ、ここまで聞けば分かる人は分かるよね。京阪電車乗っていくところは京都!今日は京都を案内だ。


 大阪から京都まで電車に乗って小1時間、やって来ました清水五条!

 外国人の観光人気スポットでもある。その理由は、京都の街並みが心行くまで堪能でき、なんといっても清水坂から一年坂まで、美味しい物や可愛いものなど日本が感じられる物で溢れているから。店を見なければ30分程度で下ることが出来る坂なのだが、あの店この店と入っていくと半日をそこで費やす観光客も沢山いるのだ。ここに到着する前に清水五条からひたすら坂を上るという初めの運動があるのだが、歩いて数分2人が既にしんどそう「頑張れ~もう少し」と私は声を掛ける。ゆっくり上って写真を撮りつつ今度は坂を下っていくのだが、産寧坂に入る前に「聞いた話なんだけど~」と前置きして言った。


就在Jiù zài這裡zhèlǐ有一個Yǒu yīgè傳說chuánshuō如果rúguǒ失足shīzú跌倒diédǎo一年yī nián兩年liǎng nián三年sān nián以內yǐnèi會死去huì sǐqù……所以suǒyǐ走路zǒulù要小心yàoxiǎoxīn這裡Zhèlǐ很滑hěn huá【ここでね。つまずいて転ぶと一年、二年、三年以内に命を落とす……っていう言い伝えがあってね~だから歩くときは注意して歩いてね。ここ滑りやすいし】」

「「E【え】」」


 二人の驚いた顔は面白かった。実際足元が悪いから注意喚起として言ったのが始まりだったみたいなんだけど、こうやって聞くと注意して歩くから効果はあるよね~店を見つつお土産買いつつ歩いていると


「うわっ!」


 声がして後ろを振り向くとイナバウアーみたいな体制の志偉Zhì wěiがいた。一年坂に差し掛かるあたりで足を滑らせ踏みとどまったらしいのだが、顔と体制がそのね……笑ったら可哀そうなんだけど笑いが止まらなくて爆笑した。


Hēi這沒zhè méi問題吧wèntí ba? ?【ねぇ~これセーフだよね??】」


 焦ったように言う彼に再び笑いが込み上げるが、頑張って押さえ込んで言った。

 

應該Yīnggāi還沒hái méi跌倒diédǎo……我跟你wǒ gēn nǐ說走路shuō zǒulù要小心yàoxiǎoxīnZhè下面xiàmiàn有一個yǒu yīgè好吃的hàochīde糰子店tuánzidiàn我們wǒmenlái休息吧xiūxí ba【たぶん?まだ転んではいないし……歩くときは気を付けてって言ったじゃん。ここ下ってすぐのところに美味しいお団子屋さんあるから休憩しようか】」


 お団子食べて引き続き下っていくと、今度は四条河原町や三条エリアに到達する。ここも外国人に人気の場所だ。屋根のついた商店街も外国人にとっては珍しいものだ。国が違うと視点が変わるとはこういう事だろう。私自身が普段あまり気にも留めていない事を珍しいねと言われてはじめて気づく事だったり、似通った歴史背景があっても変化が生じて今の形に変わったものが文化として残る。それを今生きる私たちが異国や次世代へとつないでゆくのだ。こう考えると面白いよね。


 ほぼ食べ歩きとなった京都だけどそれで満足したらしい。



 3日目――


 

 朝は私が習っている茶道の先生宅で、茶道体験。正座開始15分で悲鳴上げてたよ。日本人でも今は正座する人少ないもんね仕方がない。私にとっては初通訳になっていい勉強になったよ。聞いた事柄を瞬時に翻訳って結構大変だと改めて気付かされた。専門用語が飛び交えばなおさら難しくなるんだよね。


 その後はお昼を済ませ大阪城へ


 大阪城周辺は、歴史的遺産にあふれている。

 飛鳥~奈良時代にかけて実は大阪は日本の都だったことが分かる難波宮跡公園があり、その時代の歴史が知りたい人は大阪歴史博物館へ行ってみてね。

 大阪城は戦国の時代に深くかかわっているよね~でもこれを話し出すと終わらないから割愛するね。


 ここで大阪城の写真映えスポット!

 大阪城にたどり着いいたらまず写真ってなるんだけど取るなら大阪城へ入る入り口を背にして右側に日本庭園があるんだけどそこまで歩いて行って、庭園と大阪城を入れる形で写真を撮ってみてね。天気が良い日は、池にが鏡の様に大阪城を映し出すので、すごくきれいな一枚を取ることが出来るよ!因みにこの場所はアメリカの写真大好きなお兄さんから教わったんだ~

 今は夏だけど春に大阪城へ来るなら降りる駅は地下鉄の大阪ビジネスパークがお勧め、そこから大阪城へ向かって歩いて新鴫野橋を渡るとまず桃が咲き誇る”桃園”がお出迎えしてくれる。臺灣にも桃園Táoyuánって場所があるから「這裡是Zhèlǐ shì大阪的dàbǎn de桃園táoyuán【ここは大阪の桃園です】」って言うと臺灣の人は笑って写真を撮りに行くんだよ。更に大阪城ホール方面に歩いていくと秋ならきれいな銀杏並木が見える道に出る。そこから少し歩いて青屋門をくぐると今度は右手に”梅林”が見える。桜は大阪城の周りを取り囲むように咲いているので、時期が合えば桃・梅・桜と楽しめるんだよ。自分の観光でもいいし誰かの案内をするってなったら是非このルート歩いてみてね。絶対に喜んでもらえるよ!

 時間にもし余裕がある人は、大阪城の後、日本の小銭を作っている”造幣局”へ見学に行ってもいいし、桜の通り抜けの時期は人が沢山いるのでもし海外の方を案内する時は、キャリケースなど大きい荷物は通り抜けするなら持って行かないでねって伝えて欲しいな。怪我やトラブルのもとになるからルールを守ってみんなで楽しくきれいな桜を堪能して欲しい。

 造幣局から少し頑張って歩くと、日本一長い”天神橋筋商店街”や江戸時代の大阪の街並みが再現されたものを見て触れることが出来る”大阪くらしの今昔館”ここでは江戸時代だけでなく明治・大正・昭和・平成に渡る大阪の暮らしの様子が学べるので、大人も子供も楽しめ外国の人にも人気のスポットでもあるので、このエリアだけでも歴史に触れて買い物もできるお勧め観光エリアなんだよね。


 

 4日目――


 

 外国人爆買いの地、心斎橋・難波へ向かう前に、堺筋本町へ

 何故ここかというとここから日本橋方面に向かって商店街がくっついっているので、紹介するなら地元の人たちが訪れる場所からという事で、堺筋本町から本町をまずぶらり、大阪の船場と言えば”商いの町”として知られている。昔は本町通を境に北組、南組に分かれていたんだって、現在は証券取引所とか銀行、色々な業種の会社とか製薬会社などが集まっている場所を北船場、繊維品中止の店が多い中船場、若者向けの店が多い場所を南船場って呼んでいる。商店街に入ると昆布のお店や呉服屋さんや卸売商社が出迎えてくれる。さらに先へと進むと大きなダイソーやお菓子屋さんドラックストア等の店にお食事処もある。ここからさらに心斎橋へ向かえば向かうほど雰囲気は変わるので、見ていて面白いし心斎橋へ近づけば近づくほど異国の言葉がよく聞こえる。ここ数年で本当に増えたな~と思う事もしばしば爆買いしてる人も結構いるし、こちらも沢山買い物してたよ。途中荷物番してるくらいには……


 

 5日目――

 


 重たそうにトランクを引きづっている。結構買ったもんね。

 駅まで見送り私の案内はここまでだ。


 この数日改めて思ったのは、確かにガイドに乗っている人気スポットも見たいのだが、現地の人たちが生活している様子を見たいって思う事が多いってこと、何なら私たちが普段使うスーパーだけでも満足している。私たちが異国に行ってツアーなら観光スポットめぐってお土産屋さんに行って~ってなるけど個人の旅行なら現地の人が良く利用する市場とかが気になってくるのと同じなんだなぁ~って思ったよ。

 あとは、確かに分かりやすく英語や中国語などの表記をしてくれるのは有難いけれどもすべてを外国人向けにしすぎると本来の日本味が感じられなくなるからやりすぎは厳禁だね。本当に小さなものでも日本ぽい物なら手に取って記念にする人が多かった。


 この数日改めて思ったのは、確かにガイドに乗っている人気スポットも見たいのだが、現地の人たちが生活している様子を見たいって思う事が多いってこと、何なら私たちが普段使うスーパーだけでも満足している。私たちが異国に行ってツアーなら観光スポットめぐってお土産屋さんに行って~ってなるけど個人の旅行なら現地の人が良く利用する市場とかが気になってくるのと同じなんだなぁ~って思ったよ。

 あとは、確かに分かりやすく英語や中国語などの表記をしてくれるのは有難いけれどもすべてを外国人向けにしすぎると本来の日本味が感じられなくなるからやりすぎは厳禁だね。本当に小さなものでも日本ぽい物なら手に取って記念にする人が多かった。


 ここで日本の人もだけど海外から日本へ来る友人がいる人たちへ

 案内したりするのはいい事だしもっと魅力を知ってもらいたいって気持ちはみんな持ってると思うんだ。けど京都とか案内している時によく見かけたのが、私有地へ勝手に入る人たち……私有地って中国語では私人土地Sīrén tǔdìとか私人Sīrén財產cáichǎnって言えば通じると思うけど、個人の所有する土地ってことは好き勝手に入ったり触ったりしてはいけないってことだよね?けれど写真が撮りたいがために人の家の塀に登ったり庭や畑に入ったりっていうマナーを守らない人が結構いた。それで怒られて舌打ちしてる人も見かけたんだけど悪いのは、許可なくそのようなことをしているあなただよって声を大にして言いたい。もし知り合いに日本へ飛行機に乗って逆召喚する方がいるのならこれが、書いてあったら注意してねとか何が駄目なのかをしっかりと伝えよう。観光地って言ってもそこに住んでいる人もいるんだよ。観光地に住んでいるから仕方がないって言うのではなくて、お互いが気持ちよく過ごせるのが一番だと思わない?私たちが海外にいる時は、訪れた国の人から見れば私たちが日本の顔になるんだよ。だから逆もまたしかりで、一人の行動が異国ではその国の行動としてみられる大げさじゃなくてこれが現実なんだよ。自分の国が素晴らしいって言うのなら胸を張れるように、訪れる前にそこのマナーを頭に入れておくこと。友人が悪く言われないように事前にしっかりと伝えてあげること。小さなことだけど積み重ねが、また来たい私も訪れてみたいって気持ちが出てくると思うんだ。その国のいいところと自国のいいところを組み合わせればもっと良くなれる。海外の人が日本へ沢山訪れるようになって、自分も台湾は行ってとても強く感じるようになった。


 あとは余談なんだけど、日本に遊びに来る人達。もっと歩こう歩ける体力をつけよう!ここ2・3日何度休憩した事か!普段バイクだからじゃない!日本の観光名所は歩かないと行けないところ沢山あるんだよ~日本に来る計画を立てたら歩く練習をしようね!1日目で湿布とかを買いにドラックストアに走ってるよお土産じゃなく自分用に……止まるホテルに湯船があるなら足湯してマッサージすると翌日にあまり響かないかもしれない。


 臺灣でもだけど歩く体力すごく大事だと身に染みた。案内だった。



 友人逆召喚後の2ケ月は、遊びに行ったりゴロゴロしたりして過ごして、臺灣に戻る前は、主にほぼ食料品を購入してトランクに詰め込んだ。


 9月月初臺灣へ再び飛びます。


 到着後の一言目は勿論「暑い」だった。日本より暑いよ本当に……


 

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