Le Paradis Artificiel

エデンの東の人工楽園

ネオンの束に蹂躙されて

炎を纏った photographie に様変わり

じんわりじわり　くねくねくねり

（頭の中には Monsieur C. B.

　悪の華の花弁に瞳（め）を奪われて

　哀しみが　哀しい

　今日も　とても）


楽園（ここ）には偏屈な退屈が軒を列（つら）ね

思想は皆 stupéfiant（驚くべき / 麻薬）

おお　氷結の誘蛇（ゆうじゃ）よ　雲と散れ！

──── と　威嚇の音声（おんじょう）のみ響き渡る

理性の霞（かすみ）のカーテン越し

ただ立ち尽くす　義の守人（もりびと）

絶望の都（みやこ）に児（こ）を宿し

どこも不格好で

どこか詩的な

雨嵐に

酔う

刻（とき）の陰

星のハープのグリッサンド

朝（あした）に小さな橋を架ける

希望

　　

　　そのとき　空を見上げたら

　　一粒の未来　ちょこんとやって来た

　　どこかの誰かが　誰かのために

　　至上の愛を両肺に込めて

　　生命（いのち）の中のサクスフォン

　　雷鳴のような　永遠のブロウ……


やがて　民の記憶は

メランコリックな気球に乗って

流離（さすらい）の卵から孵る鶫（ツグミ）となり

歩く者なき丘の向こう

鋸（ノコギリ）の刃の地平線の

幽（かす）かな金色（こんじき）に惑わされ ────


……嗚呼！

彼らには最早　知る由もないのだ

彼（か）の夢の一粒が　真（まこと）の果実ではないのだと



淡く　輝く　永久（とわ）に　哀しく　


シャボンの如く　消えてゆく


融けてゆく　手造りの空に


ひっそりと　独り




闇の　


奥









〈後日　轢死体として発見された鶫の歌〉


Le vent

　　de l'ennui languissant

MEURT

　　après avoir soufflé

　　　 dans les prairies noires

　　　　 sur la rive lointaine du rêve.※















──※───※───※───※───※───※──


※以下、要約：

　　　物憂く気怠（けだる）い風が

　　　斃（たお）れてしまう

　　　夢の彼岸の

　　　黒い草原を吹き抜けて



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう！

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録（無料）

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る